ドラフト制導入以降の阪神の高卒野手では新庄剛志以来となる、高卒4年目での100安打を達成した北條は数日後、こうコメントを残した。
「ビックリというか自分でもまったく思っていなかった。でも、球団の中なので。やっぱり同学年では(広島、鈴木)誠也とか、(日本ハム)大谷とかは100本打っても騒がれない。僕はまだまだです」
自ら名前を挙げた鈴木も大谷も、同じ1994年生まれで高卒4年目。同級生に対し、対抗心をメラメラと燃やしていた。今季最終戦となった10月1日の巨人戦(甲子園)では、プロ4年目の新庄の105安打に並んだが、若虎はまだまだ上を見据えた。
広島・緒方監督が「神ってる」と表現し、今季大ブレークした鈴木誠也も、二松学舎大付高時代は投手として最速148キロをマーク。広島入団を機に野手に転向し、高卒1年目から1軍デビューを果たすなど、めきめきと頭角を現してきた。
そして今年の9月10日。若手やベテラン、外国人が見事融合し、圧倒的な強さで広島が25年ぶりにリーグ優勝を果たした。なかでも打率・335、29本塁打、95打点と圧巻の数字を残した鈴木の活躍は、目を見張るものがあった。
OBの目からしても同じだった。チームが25年ぶりのリーグ優勝を果たした9月10日。1970年代半ばから80年代のカープの黄金時代に「パンチョ」のニックネームで愛された元広島の木下富雄さんのもとを訪ねると、テレビ観戦していたパンチョさんは、鈴木の打撃を「ほんとにこいつはすごいのぉ」とたたえていた。選手で5度優勝と2度の日本一。前回のリーグ優勝時(91年)も守備走塁コーチとして経験し、ファンに愛されたパンチョさんですら、ただただ称賛の言葉を送るしかなかった。
優勝を経験したOBをも「すごい」と言わしめる鈴木の魅力。同期にライバル心を燃やす北條にも、辛口が多い阪神OBをうならせるような選手への成長を期待したい。(西垣戸理大)