(セ・リーグ、中日5-7阪神、20回戦、10勝10敗、4日、バンテリンD)ミスターに並び、ミスターを超えた。阪神・近本が2本の長打を放ち、入団7年目までの通算安打数で長嶋茂雄さんを超え、歴代2位となった。
「ヒットを打ててよかったです。また頑張ります」
この日は2試合ぶりに定位置の「1番・中堅」でスタメン復帰。目標の存在に追いつく瞬間は3―0の七回に迎えた第4打席にやってきた。先頭の梅野、小野寺の連打で無死一、二塁のチャンス。1ボールから橋本の直球を右翼線に弾き返す適時二塁打で8月15日の巨人戦(東京ドーム)以来のタイムリー。これで長嶋さんの1070安打に並ぶと同時に、のちに乱打戦となるゲームで貴重な追加点を挙げた。
近本は7年目の通算安打数で長嶋さんを超えたさらに7―5まで追い上げられて迎えた九回。先頭で打席に入ると、右中間真っ二つとなる三塁打を放ち、8月22日のヤクルト戦(神宮)以来のマルチ安打で一気に長嶋さんを抜いた。
8月31日の巨人戦(甲子園)で39打席ぶりのヒットを打ったが、今カードの2日は5打数無安打に終わり、前日はベンチスタートから代打で出場し四球を選んでいた。首位打者争いをしていた打率は・275まで下落したが、上昇気流に乗ってくれるに違いない。
近本は九回の三塁打でこの日2安打をマークした1071本のヒットを積み重ねるにあたり、できる準備はすべてしてきた。毎月、月初めには必ずピン札の1000円札を用意して、神社をお参りする。だが、デーゲームや移動などでどうしても参拝できないときもある。
「できない時はちょっと不安なんですよ。今まで続けてきていることを次もやったからって、いい結果が出るかと言ったらそうでもない。でも、何か自分の中で心残りが、引っかかる部分があるんだったら、それはやった方がいい」
もちろん科学的、物理的に効果が証明されていないことだってわかっている。だけど、メンタルの安定に少しでもつながるならと、ルーチンに取り入れてきた。
ようやくトンネルから光を見つけた。虎のリードオフマンはやっぱり近本しかいない。(渡辺洋次)