ウォーミングアップでストレッチする阪神・大竹耕太郎(撮影・松永渉平) 阪神の話題の事象をさまざまな角度から深く掘り下げる「虎博覧会」(不定期掲載)。今回は大竹耕太郎投手(29)の代名詞となったスローボールを取り上げる。藤川虎きっての理論派左腕は、球速100キロ以下の山なりの球を投げる意図を「左脳ではなく、右脳で投げる感じ」と説明。打者を困惑させ、球場を沸かせる遅球の秘密を探った。(取材構成・三木建次)
大竹=スローボールというイメージがすっかり定着した。古巣相手にNPB史上21人目の12球団勝利を達成した21日のソフトバンク戦(甲子園)。三回、牧原大から球速66キロの山なりのボールでファウルを奪うと、甲子園は歓声に包まれた。
「(球速が)160キロ出るよりも球場が盛り上がるのでは、と。ファンの方が喜んでくれるのはうれしい」
緩急自在の投球を持ち味とする中で、より相手を幻惑する一球。そのこだわりを探ると「僕のなかでは重要なボールではないし、特別な思いはない。気分で投げているだけで、ほんと適当」としつつ「左脳ではなく、右脳(で投げる)という感じ」と、その意図を明かしてくれた。
一般的に、左脳は言語、計算、分析、記憶などをつかさどり、右脳は直感、イメージ、創造性、感情などをコントロールしているといわれる。つまり、相手を分析して組み立てた中での一球ではなく、すべては大竹の直感任せ。実際に、投球動作に入ってから瞬時に投げる判断をしたことも一度や二度ではないという。「だからサインはないんです。変化球のサインで真っすぐは捕れないけど、逆は大丈夫ですからね」。右脳のひらめきで投じるため、キャンプ中を含めてブルペンなどでは一切練習もしない。
まさか、ノーサインとは驚きだ。リードする坂本にも確認すると「そうですよ。大竹が自分で打者を見て、投げている。今年はコントロールもいいし、バッターも振ってくれるから効果はありますね」と証言した。