「バラ色のオフ」とは、このことだろう。阪神の若虎トリオは今、残り少なくなった師走を満喫している。新人王は逃したものの、揃って新人特別賞を受賞した3人の合計年俸増額は8600万円! 自分へのご褒美として、移動時のスーツに合う100万円相当の高級腕時計を買いたいと、中野は話した。ほほえましいコメントに「なんぼでも買ったらええ」と言いたくなる。12月14日、西宮市内の球団事務所で行われた球界では珍しいルーキーによる同日契約交渉は笑顔、笑顔の連続だった。
まずは阪神の新人選手では最高の昇給率となる363%を勝ち取った中野だ。来季年俸は2900万円増の3700万円(金額は推定=以下同)。今季は135試合に出場し、打率・273、1本塁打、36打点で、30盗塁でタイトルを獲得した。来季の目標は「1番を打ってみたい」と語り、50盗塁を掲げた。126試合に出場し、打率・238、24本塁打、64打点の佐藤輝は2600万円アップの4200万円(昇給率は163%)。「内野に挑戦したいという思いはあります」と発言。打順については「早めに打ちたいです」。近大時代に守っていた三塁を希望し、「3番・サード」への思いを口にした。
阪神勢から全幅の信頼を寄せられるオリックス・能見そして伊藤将。3100万円増の4400万円で更改(昇給率は239%)した。今季は23試合に登板し、10勝7敗で防御率は2・44。会見ではオリックス・能見に弟子入りし、来年1月に沖縄で行う自主トレに参加することを明言した。「フォークを教えてもらえたら、うれしい。点差が厳しい時に、三振がほしい場面が何試合もあった」と理由を説明した。今年初めて参加し、矢野監督に認められ、来季の主将になるなど、一気に〝昇進〟した坂本が仲介役となって、入門が実現した。
2020年シーズン中、球団から戦力外通告を受けた能見は今季、兼任コーチとしてオリックスに入団。26試合の登板で0勝0敗5ホールド2セーブで防御率は4・03。しかし数字以上の存在感を示し、圧倒的な成績を残した山本由伸をサポートするなど、投手陣をけん引し、オリックスを25年ぶりのリーグ優勝に導いた。一方でブルペンの精神的支柱を失った阪神は後半戦に失速するなど、対照的な足取りをたどった。
阪神時代から沖縄で2週間程度、自主トレを行っている能見のもとには梅野、岩崎、岩貞、大山らが参加したことがある。それはオリックス移籍後も同じ。「特別なことは何もしませんよ」と本人は語っているが、投手はキャッチボールの重要性を認識し、打者は何気ない会話からピッチャー心理の理解度が増すという。伊藤将がフォーク習得という明確な目的を持って、優秀な門下生を輩出する〝能見教室〟を選んだのも、うなずける。