豊山(手前)を左上手投げで豪快に転がした白鵬。鶴竜の休場で一人横綱となった影響を感じさせなかった(撮影・藤原重信) 横綱鶴竜の早々の休場によって「一人横綱」となった白鵬(35)は、平幕豊山(26)を豪快な上手投げで破り、2連勝とした。新大関朝乃山(26)は初日に鶴竜を下して金星を獲得した遠藤(29)を寄り切り、連勝スタート。自身2度目のかど番となった大関貴景勝(23)は、阿武咲(24)をはたき込んで連勝発進となった。
型にはまった瞬間に、仕事は終わっていた。得意の右を差すと同時に、左上手に指を通した白鵬が、素早く体を開いて上手投げ。わずか2秒4。土俵中央で豊山を横転させて連勝発進した。
「(上手が)いいところを取れた。出るか、投げるかという流れ。いい投げだった。気分よかった」
舌の滑りも滑らかだった。新型コロナウイルスの影響で5月の夏場所は中止となり、今場所は3月の春場所以来4カ月ぶりの本場所となった。感染予防のため、観客動員は定員約1万1000人の館内に上限を約2500人と定めた異例の空間で場所が始まった。
日本相撲協会は出稽古禁止の通達を解除せず、白鵬は場所直前に「出稽古のないまま始まるというのは僕も初めての経験なんでね」と戸惑いを隠さなかった。しかも、横綱鶴竜がこの日から休場。「一人横綱」の重責が双肩にかかる。「そのぶん託されたと思って一日一日しっかり頑張っていこうと。千秋楽まで」と状況を受け入れる。
これまでも、相撲界の苦境に立ち合ってきた。平成22年名古屋場所は野球賭博問題で、協会が天皇賜杯の表彰を辞退。その中で史上初の3場所連続全勝優勝の偉業を達成し、賜杯のない優勝に涙を流した。
23年5月は八百長問題の影響で、技量審査場所として異例の無料公開で開催。白鵬はこの場所も制して7場所連続優勝を飾る。さらに、史上初の完全無観客で開催された今年の春場所では、44度目の賜杯を抱いて存在感を示した。
通常の名古屋開催から国技館へ場所を移して実施する、今場所も然り。一人横綱にとって、「連覇」はミッションとなる。(奥村展也)