2013年10月30日、巨人との日本シリーズで険しい表情の楽天・星野監督 2月11日に急逝した野村克也さん(享年84)が、専属評論家としてサンケイスポーツに残した言葉を振り返る、ヘリテージ(遺産)連載。今回は「負けているときこそ勝負」。積極的なチャレンジの必要性を、説いている。 (構成・内井義隆)
ノムさんは「勝負ごころ」とは何かを、しばしば語っていた。
一見するとギャンブル。実体は、理論に裏打ちされた積極的なチャレンジ。スポーツでは常に、その姿勢が求められると、2016年11月22日付の大型連載『ノムラのすべて』でも力説している。
「私が評論した試合で、今でも腑に落ちないシーンがある」と紹介したのは、13年10月30日、巨人-楽天の日本シリーズ第4戦(東京ドーム)だった。
1点を追う楽天は八回、2死から聖沢諒外野手が四球で出塁した。聖沢は前年12年の盗塁王で、足のスペシャリスト。マウンドには、大柄でモーションの大きいスコット・マシソン投手。
「当然、走るものだと思っていたら…」。聖沢は一塁にくぎ付け。後続も倒れ、試合も5-6で落とした。星野仙一監督率いる楽天は、最終的に日本一になったとはいえ、「あの1点差負けは、シリーズの行方を左右してもおかしくないものだった」と苦言を呈している。