3連覇へ、変わらなきゃ―。阪神が24日、甲子園の室内練習場で秋季練習をスタートさせた。藤川球児監督(46)は、ブルペンを支えてきた石井大智投手(29)に来季の先発転向を告げた。セ・リーグでもDH制導入されるシーズンで見込まれる先発適性に期待を込めた。指揮官の思いを受け止めた石井は、四国IL高知時代に務めていた役割での活躍を誓った。
17日の今季終戦から7日。リーグ3連覇、日本一奪還を目指す来季へ向けて、秋季練習初日に藤川監督が動いた。室内練習場で石井を呼び寄せると、安藤投手チーフコーチと約10分の3者面談。そして、チーム力の底上げを図るため、来季からの先発転向を告げた。
「(来季は)DH制になるので、1イニングをピシッと切っていくという部分では、石井はコントロールが非常にいいので、1イニングあたりの投球数が(少ない)。9枚、攻撃の打者たちが並ぶところにおいては、非常に強みを発揮すると思う」
2年前の監督就任時から先発適性を感じ、本人にも伝えていた。チーム編成を考慮してこれまで見送っていたが、今季は工藤、木下ら若手の中継ぎ陣が台頭。機は熟した。「チームが目指す方向と選手個々が目指す方向が一緒になれば、チーム力は上がると思っていますから」。最多勝&勝率第1位に輝いた高橋、最優秀防御率の村上、最多奪三振の才木の3本柱に、昨季に52試合連続無失点のNPB記録を樹立した石井を先発陣の新たなピースとして加える。
プロ7年目となる来季の大きな挑戦に、石井も意欲十分だ。阪神入団後の201登板はすべて救援ながら、四国IL高知時代は主に先発投手を務め「1安打完封したことはあります」。今年は2月の春季キャンプ中に左アキレス腱(けん)を断裂。9月に復帰するも12試合登板で1勝2敗、2ホールド、防御率3.86と満足いくシーズンを送れなかった背番号69にとって、巻き返しを期す来季への大きなモチベーションと刺激になる。
虎では2005年の安藤、近年ではモイネロ(ソフトバンク)や平良(西武)がリリーフから先発に転向してタイトルを獲得している。そんな中、石井は「カープの栗林さんは変化球とかも構成的にも似てる部分は多少あるので、参考にはなるかな」と、今季から先発に転向して7勝、防御率2.89をマークした右腕の名を挙げてイメージを膨らませた。
「今季はけがもあって貢献することができなくて、来季に向かう形でそういうことを言ってくださった。しっかりと監督の期待に応えられるように全力で頑張るだけ」
鉄腕リリーバーが新たな挑戦で爆発すれば、3連覇への修羅の道も力強く突き進んでいける。(渡辺洋次)
★左脚強化図る
25日以降は個別練習となる石井は、左アキレス腱断裂の再発防止のため、重点的に左脚強化を図る。「(ふくらはぎの)ヒラメ筋や腓腹筋をしっかり鍛えてあげること。足首や膝、股関節なども整えていきたい」。筋力トレーニングに加え、ランニングの量も増やすという。また先発転向に向けては「長いイニングを投げるとなったら、肺の機能とか対乳酸というところは必要だと思う」と語った。
◆石井の先発転向についてブルペンリーダーの阪神・岩崎 「見てみたいじゃないですか。1イニングを圧倒的に抑えていて、先発だったらどうなるんだろうと気になる。全然やれると思う」
★主な先発転向あらかると
■安藤優也(阪神) 勝利の方程式の一角を務めていた中で2005年に転向し、11勝を挙げて最高勝率(・688)のタイトルを獲得して優勝に貢献した。
■摂津正(ソフトバンク) 1年目の09年から2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝き、転向した11年は14勝をマークしてリーグ連覇に貢献。12年は最多勝(17勝)、最高勝率(・773)に加えて沢村賞を受賞した。
■モイネロ(ソフトバンク) 20年に最優秀中継ぎ投手に輝き、転向した24年は11勝を挙げて最優秀防御率(1.88)のタイトルを獲得して優勝に貢献。25年は12勝で最優秀防御率(1.46)とMVPに輝いた。
■平良海馬(西武) 22年に最優秀中継ぎ投手に輝き、転向した23年は11勝をマーク。配置転換で抑えを務めた25年に最多セーブ投手となり、再転向した26年は12勝を挙げて最優秀防御率(1.36)のタイトルを獲得した。