そうなると、近本が戻ってくるのは7月下旬か8月上旬あたり…ということになります。目安はオールスター明けの7月31日からヤクルト3連戦でしょうか。あくまでも予想ですが、阪神は近本抜きで、まだ35試合程度は戦わなくてはなりません。ちょうどその頃はシーズンでは100試合前後に近づいています。近本の戦線離脱後、阪神は38戦18勝20敗。勝率5割を切っていますが、あと1カ月は苦しい戦いが続くことを覚悟しなくてはいけません。
球界関係者の中には楽観視する人もいます。19日からのセ・リーグの戦い(阪神はDeNA3連戦=横浜)に戻れば、相手が一気に弱体化するからです。交流戦前、阪神が負け越していたのはDeNA(3勝5敗)だけです。後の4球団には全て勝ち越していました。さらにリーグ4位のDeNAから5位・広島、6位・中日の3球団は交流戦でも負けまくり、いずれも借金が2桁に到達しています。優勝争いどころか、クライマックスシリーズ圏内も遠い状況で、優勝を目指す巨人、ヤクルトとはチーム全体のモチベーションが違うでしょう。
しかし、近本が不在の阪神がセ・リーグ相手に変わった瞬間、貯金を量産できるチームに再び変貌を遂げるのか。ある阪神OBはこんなことを話しました。
「近本が戦列を離れてから、藤川監督は1番打者に高寺を起用したり、立石を使ったり、中野を1番に上げてみたりしたが、どれもこれもハマらなかった。弱いセ・リーグ相手といっても、急に打線の得点能力が一気に上がるとは思えない。さらに、現状のリリーフ陣の不安定さを考えると、あまり明るい見通しを立てにくい」
ならば、指揮官が描く連覇への戦略はどうなるでしょう。近本が戻ってくるまでは、なんとか現有戦力で戦い、巨人、ヤクルトとの三つ巴を継続していく。そして、近本が戦列に復帰した後にライバルを突き放し、Vゴールを駆け抜ける…。サッカーにおける「ジョーカー」のように途中で出てきて大暴れする選手が出現すれば大いに助かります。しかし、ここまでの38試合では近本の仕事をまかなえて、チームに流れを持ってこれるほどの1番打者は見当たりませんでした。そうであるならば、〝近本待ち〟のV戦略が現実的でしょう。
幸い、巨人やヤクルトに独走するほどの力を感じません。近本が帰ってくるまで我慢すれば、阪神には残り40試合前後で抜け出す力があります。交流戦に入って以降、負けが込んでしまい、もがき苦しむ虎ですが、今がシーズンでは底の状態と捉えて踏ん張る時です。とにかく、近本よ早く帰ってこい…ですね。
■植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、野村克也、星野仙一の両氏の阪神監督招聘を連続スクープ。