麻雀のプロスポーツ化を目的として2018年にスタートしたMリーグ。8シーズン目にあたる2025-26シーズンが15日ですべての日程を終了した。優勝はEX風林火山。5季ぶり2度目の頂点は、レギュラーシーズン、セミファイナルも首位通過しての完全制覇となった。競馬評論家で麻雀ウオッチャーの片山真氏がファイナル最終週を振り返る。
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【3位転落からの巻き返し】
2025-26シーズン最終成績 ©AbemaTV, Inc. ©M.League2週間、全16戦の短期決戦のなかで、これだけ多くのドラマが起こるとは。今年のファイナルも、しびれるシーンの連続だった。
最終的に2位のKONAMI麻雀格闘倶楽部に144.1ポイント差をつけて優勝した風林火山も、前半戦を終えた時点では3位にまで後退していたのだ。
首位で折り返したのは8日にデイリーダブルを決めたBEAST Ⅹ。しかし、百戦錬磨の3チームからマークされる立場は楽ではなかった。なかでも際立ったのは、風林火山の〝軍師〟勝又健志の意思のあるプレー。これが創設3年目のBEASTをジワジワと追い込んでいった。
【ライバル徹底マークのたまもの】
〝軍師〟勝又が本領発揮 ©AbemaTV, Inc. ©M.Leagueファイナルでは5戦に登板した勝又。その成績を対BEASTで振り返ると、
勝又2着→中田花奈4着、勝又2着→鈴木大介4着、勝又1着→下石戟4着、勝又1着→東城りお4着、勝又3着→下石4着と、すべてで上位の着順を奪っていた。いわゆる〝並び〟づくりはパーフェクト。狙った相手には一切の隙を見せなかった。
<11日・第2試合>
南1局、4巡目に大介がドラの「二筒」をポン。タンヤオへ向け、すでに刻子が足りている2シャンテン。ここから上家の勝又は、完全ガードを決め込んだ。
河の1段目の「一萬」から最終手番まで、切った牌は一九字牌か大介の現物牌だけ。自身のアガリを早々にあきらめ、〝鬼絞り〟に徹したことで大介はテンパイにすらたどり着けなかった。
大介と勝又の河に注目 ©AbemaTV, Inc. ©M.League<14日・第2試合>
前局に4000オールをアガってリードを奪った東3局1本場。辺「三索」をチーして「二萬」、「一萬」落としを選択。警戒されやすい三色を見切って、アガリやすさを優先した。
三色はいらない ©AbemaTV, Inc. ©M.Leagueこれがズバリと的中する。間「二筒」のテンパイからドラの「南」を暗刻にしての「一筒」単騎。なんとこれを東城から捕らえたのが大きすぎた。
出どころも最高 ©AbemaTV, Inc. ©M.League第1試合で中田花奈がトップを奪い、37.0ポイント差まで迫っていた2位のBEASTを再び突き放したのだ。
そのままトップ=ラスを決める殊勲の1勝。風林火山は圧倒的有利な状況で最終日を迎えることに成功している。
【来季につながる好プレー】
先週のこのコラムで、クライマックスの各チームのキーマンをそれぞれ挙げていた。
その4選手が15日の最終日にそろって登板。来季につながる好プレーを見せてくれた。
<15日・第1試合>
最終日の2戦を残して4位のTEAM雷電は、とにかく特大トップが必要な状況。打点が欲しいときはやっぱり〝セレブ打法〟の黒沢咲だ。
打点のタネの「三索」残し ©AbemaTV, Inc. ©M.League東2局、ここから「七索」を切るのが、常に高打点を意識する黒沢らしい手順。「三索」を残しておくと、遠くに下の三色が見えてくる。
12巡目に間「二索」を引き入れて「一-二-三」の三色が確定。ヤミテンに構えた3巡後に、風林火山の二階堂亜樹からド高目の「九萬」を仕留めた。「純チャン・三色・ピンフ」の跳満1万2000直撃に、風林火山を引きずり落としたい3チームの目の色が変わる。 同時に、バブリックビューイング(PV)会場で推しチームを応援するサポーターもドッと沸いた。
出どころも最高 ©AbemaTV, Inc. ©M.Leagueこの失点が響いた亜樹は4着に沈んだものの、総合2位のBEASTが3着で傷は小さかった。それでも一瞬で展開を面白いものに変えた黒沢は、さすが千両役者。来シーズンも〝らしい〟麻雀、面白い麻雀を見せてくれるだろう。
<15日・第2試合>
南3局、下石の親番を勝又が1300(+300)で蹴ったところで、風林火山の優勝が事実上決定。今シーズンのオーラスは賞金2000万円を巡る2位争い(3位1000万円、4位500万円)に焦点が絞られた。
南3局終了時点の総合2位はTEAM雷電。素点2400点差で3位の麻雀格闘俱楽部は、2600出アガリか、500-1000のツモアガリで2位に浮上できる。
難しい配牌を丁寧に仕上げたのが麻雀格闘倶楽部の〝魔王〟佐々木寿人。自風の「西」を焦らずスルーしたところから手が伸びて、6巡目には早くも「三色」のテンパイ。8巡目にこれをツモって、長かったシーズンを締めくくった。
三色ツモで今季を締めた ©AbemaTV, Inc. ©M.League試合後の囲み取材で、昨年10月に亡くなった盟友・前原雄大プロにどんな報告をするか、と質問された寿人。
「あと一歩届きませんでした、ですかね。それでもきっと、『胸張って、いいんじゃない』と言ってくれそうで。そんな気がしています」と背筋を伸ばした。
総合2位の麻雀格闘倶楽部。右が佐々木寿人 ©Mリーグ2位麻雀格闘倶楽部、3位の雷電は2018年からのオリジナルメンバーながら、まだ優勝シャーレに手が届いていない。それでも今季の戦いぶりには確かな手応えがあったはず。悲願の初優勝は、きっとすぐ近くにある。
■Mリーグ
麻雀のプロスポーツ化を目的として2018年にスタートした競技麻雀のチーム対抗戦。1チームは男女混成の4人で構成され、ユニホーム姿で対局する。2025―26シーズンは全10チームで争われた。
■片山真(かたやま・まこと) 1961年12月18日生まれ。64歳。広島県出身。東京大学農学部畜産獣医学科卒、同大学院修士課程修了。競馬記者歴は40年。夕刊フジで『俺の切り札』を連載し、メインレースを中心にヒットを連発した。麻雀歴は高校1年からで、昭和の人間らしく好きな手役は純チャン三色。