――「ばけばけ」の見どころと視聴者へのメッセージを
「ばけばけ」の登場人物は、みんなが誰かを思いやっています。今、自分の権利や立場を主張してばかりで、相手を攻撃するようなことが増えているように感じることも少なくありませんが、価値観が変化していく中で、人にとって大切なものとは何かということを改めて問いかけている二人の物語であり、二人を取り巻く登場人物たちも葛藤しています。その答えは簡単には出せないものかもしれないけれど、現実を「怪談」というフィクションとして捉えることができれば、救われることもあると思います。
今回のテーマは、価値観の違う者同士がどうやったら一緒に共存できるのかということを諦めずに生きていきませんか? という問いかけだと思います。江藤を演じながら、役柄と自分自身という葛藤とも重ねて、常にそのことを問われ続けているように感じています。そのことを視聴者の方々とも共感できたらと思っています。
松江出身の俳優として、また江藤知事としても、視聴者の皆さんに古(いにしえ)よりの歴史の残る松江に興味を持っていただき、松江を訪れていただけるようになったらうれしいですね。
■佐野 史郎(さの・しろう) 1955(昭和30)年3月4日生まれ、島根県松江市出身。劇団シェイクスピア・シアター、劇団状況劇場を経て、86年、「夢みるように眠りたい」(林海象監督)に主演して映画デビュー。92年、TBS系「ずっとあなたが好きだった」で主演・賀来千香子の夫・冬彦を演じ、脚光を浴びる。主な出演作は、映画「帝都物語」(88年、実相寺昭雄監督)、「その男、凶暴につき」(89年、北野武監督)、テレビドラマ「誰にも言えない」(93年、TBS系)、「リッチマン、プアウーマン」(2012年、フジテレビ系)、「私たちはどうかしている」(20年、日本テレビ系)など。NHK大河ドラマでは「おんな城主 直虎」(17年)、「西郷どん」(18年)などに出演している。俳優業のほか、音楽、写真でも活動。ライフワークとして「小泉八雲・朗読のしらべ」をギタリストの山本恭司(69)とともに07年から継続している。