巨人・長野久義外野手(40)が現役引退を表明した。この1週間は球界関係者から報道陣、そしてファンまで、あちこちから心温まる思い出話があふれていた。誰にでも分け隔てなく接して慕われた〝チョーさん〟ならでは。ちょっと笑える気配りのエピソードは、阿部慎之助監督(46)からも聞いたことがある。
昨年のシーズン中、阿部監督が持ち歩いているカバンから、小さなおもちゃを取り出して見せてくれた。「この前、チョーさんがくれたんだ」。パチッと押すボタンや歯車など触り心地がいいものが合体したストレス解消グッズだった。
ベンチの巨人・阿部慎之助監督(右から2人目)。両手をベルトのバックルにひっかけ親指の爪をはじく癖がこれ阿部監督はベンチで思考を巡らせているときなど、両手をベルトのバックルにひっかけ、親指の爪をはじく癖がある。スタッフによれば、「あのままじゃ監督の親指の爪がなくなっちゃう」と心配した長野が、他にも緩衝材の『プチプチ』を潰すおもちゃなどと一緒に、そっと阿部監督に届けたのだという。
日常的にチームメートや裏方スタッフに気の利いたプレゼントを贈っていた長野だが、監督もその例外ではなかった。気遣いの男はとにかく視野が広く、行動が早い。監督就任1年目、しんどい日々を過ごしていた阿部監督は、「笑ったよ。さすがにベンチでは触れないでしょ(笑)」とうれしそうだった。今でも監督室で大切に保管されている。
阿部監督が現役時代に続けていたグアム自主トレは長野、坂本が中心メンバー。2012~14年のリーグ3連覇など長く苦楽を共にした。長野は引退会見で「若い頃からかわいがっていただいた。自主トレも一緒にやらせてもらって、僕と勇人(坂本)を1番近くで見てきた先輩だと思います。今年悔しい思いをして監督を勝たせられなかったことがすごく残念」と感謝した。
阿部監督が「チョーさん」と後輩に「さん付け」で呼ぶのは、おそらく長野だけ。「ニックネームみたいになっちゃってるから」と言っていたが、そこには人間性へのリスペクトがあるのだと思っている。(谷川直之)