史上最速優勝を成し遂げた、今季の阪神の舞台裏を探る連載「球児トラ界隈」。第9回は、投手3冠を目指して奮闘する才木浩人投手(27)に迫る。開幕前の3月16日に開催されたプレシーズンマッチ・ドジャース戦(東京ドーム)での快投が、2025年シーズンの飛躍へとつながった。
才木にとって、メジャーリーガーは憧れの存在ではなくなった。3月16日のドジャース戦で自信を深めた。
「本当にいい経験になったというか、自分の野球人生の中で、新しい刺激というか。(振り返って)あの日、投げられて良かったなって、すごく思います」
ベストオーダーで臨んだ昨年の〝世界一打線〟を相手に5回1安打無失点、7奪三振。世界を驚かせたのは、大谷翔平をフォークで空振り三振に仕留めたシーンだ。23年の日本代表とのWBC強化試合では片膝をつかれながら右手一本で被弾したが、そのリベンジを果たし、開幕に突入した。
「去年と比べると直球は、いい感覚で投げられていた」
自己最多の13勝を挙げた昨季よりも手応えはあったが、前半は制球が定まらず、勝ち星は伸び悩んだ。それでも大リーガーを驚かせた150キロ超の直球と落差のあるフォークで踏ん張り、負けなかった。
例年、夏になると調子を落とすタイプだが、今年は違った。8月は5戦4勝0敗。プロ5年目で初めてとなる月間MVPを受賞。防御率1・60はリーグトップ。勝利数は同2位の12勝。さらに最高勝率(13勝以上)は同3位の・667と投手3冠を狙える位置にいる。
球団関係者は「才木の投げる試合は大リーグ球団のスカウトが視察にきているが、夏場以降は数が一気に増えた」と明かした。才木が昨年12月の契約更改交渉の席上で、ポスティングシステムを利用して、将来のメジャー挑戦を球団に伝えたことも理由だ。
才木とともに佐藤輝もメジャー挑戦への思いを口にすると、藤川監督は「『まだまだ早い』と、思われる方もいるかもしれない。だけど、チャレンジをするために向かっていることが日々の努力に変わる。一人のアスリートとして、理解できます」と夢を公表した2人を否定しなかった。
「自分の向上心のために1番になりたいという思いは絶対に必要。タイトルを取りたい」
才木は、自身を奮い立たせるかのようにタイトルへのこだわりを熱く語った。チームのため、自身の夢の実現のために、クライマックスシリーズ&日本シリーズで、ドジャース打線を力でねじ伏せたときのような投球をみせる。(三木建次)