大谷が9三振を奪う力投で、749日ぶりに勝ち星を挙げた(撮影・佐藤徳昭) 【ロサンゼルス27日(日本時間28日)=横山尚杜、丹羽美佳子通信員】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(31)がレッズ戦に「1番・投手兼DH」で出場し、5回2安打1失点、9奪三振と好投。エンゼルス所属だった2023年8月9日のジャイアンツ戦以来749日ぶりに勝利投手となった。同年9月に受けた自身2度目の右肘手術から投手復帰後で初白星。誰一人歩んだことがないリハビリ過程を経て、再び剛腕の先発投手として帰ってきた。
ドジャースとして投手初勝利を挙げ、涙をぬぐうそぶりを見せる大谷翔平(撮影・佐藤徳昭)鼻を赤らめ、すっと天に向けた両目は潤んだようにも見えた。大谷が今季11度目の登板で初めて5回を完了し、2安打1失点、最多9奪三振の快投。五回の打席を終え、ベンチに腰かけると一瞬だけ充実に浸った。長期のリハビリを乗り越え、749日ぶりに白星をつかんだ。
「感極まることはなかったです。2度目(の右肘手術)で元のように投げられるようになるのか不安はあったが、投げていくごとに自信も増えていっている。ドクター、トレーナーに毎日ケアしてもらって本当にありがたい」
今季11球しか投げていなかったカーブを、球種別で最多の23球投じ、スプリットと合わせ縦変化で空振りを量産した。二回1死二、三塁から連続三振でピンチを切り抜けると、ピストルでパンと仕留めるしぐさ。三回にはマルテに先制ソロを被弾したが、以降は8者連続でアウトを奪った。
前例なき過程で復活を遂げた。昨オフに受けた左肩手術の影響でスローイングメニューの再開が遅れ、初の実戦形式は5月25日。メジャー復帰は先発としての準備が整うオールスター明けが目途だった。だが、大谷は誰もが想像しえない英断を下す。6月16日のパドレス戦で電撃復帰。メジャーのマウンドでリハビリを兼ねてイニング、球数を増やすプランを提示し、慎重に進めたい球団を説得した。
通算221勝を誇るドジャースのレジェンド左腕カーショーは言う。「それが理にかなっていた。午後2時のライブBP(実戦形式の打撃練習)で投げ、5時間後に打席に立つのは効率的とは言えない」。ライブBP後にナイターに打者出場する大谷が過重な負荷を背負っていたと明かした。「ショウヘイのためにも一日中、準備し続けるのではなく、一度準備してリラックスしてから試合に入る方がいい」と大谷にしかできない『革新的リハビリ』を支持した。
昨オフには、右肘手術について「2回目までが理想。(投打の)どちらかにせざるを得ないタイミングが来たら、対応できる準備をしておく必要がある」と3度目の手術には否定的で、二刀流最終章の覚悟も語っていた。だが、その過程で轍(わだち)のない道を選択したのは、固定概念に捉われない大谷らしい決断でもあった。
昨季の「50本塁打、50盗塁」達成を記念したボブルヘッド人形が来場者に配られた(撮影・佐藤徳昭)この日は今季3度目となる自身のボブルヘッドデーだった。過去2試合は本塁打を放ち、この日は勝利投手。ロバーツ監督は「完璧な内容。球数(87球)の関係でぎりぎりだったけど、勝ち星がついて良かった」と絶賛した。先に見据えるのは自身初のポストシーズン登板。「もちろん楽しみにしている」と語っていた10月のマウンドまで、さらに高いレベルに仕上げていく。