ウイニングボールを手に記念写真に納まる南場オーナー(右)と三浦監督。プロ野球初の女性オーナーにとって悲願の歓喜となった(撮影・渋井君夫) DeNAが3日、1998年以来26年ぶりの日本一に駆け上がった。就任4年目の三浦大輔監督(50)のもと、セ・リーグ3位から下克上を成し遂げられた要因を3回にわたって分析する。まず注目したのは、2011年オフから球団経営に乗り出したIT大手ディー・エヌ・エーの存在。球団の経営改革を進め、チーム強化へと昇華させた気鋭の企業を会長として束ねる南場智子オーナー(62)の経営哲学に迫った。
改革者の存在なくして、ベイスターズに〝勝者のDNA〟が生まれることはなかった。ポストシーズン全試合を現地で見守った南場オーナーは試合後、ベンチの前から待ち望んだ景色を見つめ「(参入当初は)チームもすごく弱かったし、空席も目立つ状態だったけど、努力を皆さんが見ていてくださった。本当にファンの方に育てられたと思う」と感謝した。
ちょうど13年前の2011年11月4日。南場氏が創業し、現在会長を務めるディー・エヌ・エーが、TBSから球団の経営権を総額95億円で取得。4年連続で最下位に低迷し、暗黒期にいた球団の再生が始まった。
気鋭のIT企業がまず目指したのは、ビジネス面での成功だった。マーケティングを重視し、球団オリジナル醸造ビールの開発、イニング間イベントの充実など、野球に付加価値を与える戦略でハマスタをボールパーク化。足を運びたくなる「空気」を醸成した。
15年1月、南場氏が球界初の女性オーナーに就き、勢いは加速する。最大の転機は16年の横浜スタジアム運営会社の子会社化。球団と球場の一体経営を実現し、年間25億円あった赤字を球団取得から5年で黒字化した。
稼働率が50・4%と閑古鳥が鳴いていたスタンドも一変。11年に110万人だった年間動員は18年に初めて200万人を突破した。やじは歓声にかき消され、筒香は球団幹部に「次は僕たちの番ですね」ともらしたほど。大観衆の前で恥ずかしいプレーはできない。勝利を追う「空気」も自然とチームに生まれた。
収益が上がれば投資もできる。宮崎、山崎ら功労者に大型の複数年契約を提示。人材流出の流れを止めた。17年には金融工学や統計学の精鋭を招きデータ解析部門を新設。メンタルコーチの導入など新機軸も打ち出した。
世界的コンサル企業、マッキンゼー出身で経団連副会長も務める南場オーナーは、会社経営で大切なものとして「人」を挙げる。「私は才能にほれ込むところがあり、自分にないものを持っている人に憧れます」。歴代の社長を見ても、マーケティングにたけた池田純氏、総務省出身の岡村信悟氏、東大大学院で航空宇宙工学を学んだ理系の木村洋太氏と、時々のフェーズに合った人材にかじを託している。
経営を安定させて「人」に投資し、着実にチームを強化してきたDeNA。黒字化を達成した16年以降の9年間で6度Aクラス入りし、日本一まで上り詰めたのは決して偶然ではない。(DeNA取材班)