練習中に山本(右)と笑顔で会話をする鈴木氏(撮影・山田結軌) 米大リーグ、ドジャースの山本由伸投手(26)はメジャー移籍1年目で地区優勝を経験した。元オリックス投手で2023年から米ロサンゼルスに移住し、取材活動を行っている鈴木優氏(27)が、間近で見てきた2学年下の元同僚の苦労、努力などをつづった。
由伸、ドジャース1年目での地区優勝、本当におめでとう。オリックス時代は球団寮の青濤館(せいとうかん)で生活をともにして「優さん」「ヨシノブ」と呼び合う仲。メジャーリーガーになっても偉ぶるわけでもなく、謙虚で向上心のある性格は何も変わっていません。
過去にメジャー移籍した投手と同じように大リーグの公式球に苦労したようです。「スプリットがスライダー回転してしまう」。日本の公式球よりも少し大きい分、無意識のうちにボールが抜けないように力が入り、スライダー回転がかかってしまう。決め球のはずが、見極められてしまっていたようです。理想の変化を求め、日々のキャッチボールやブルペンで取り組んでいました。
「下位打線でも一発を気を付けなければいけない。それが日本との違い」とも話していました。メジャーでは主軸はもちろん8、9番でも本塁打を警戒しなければいけない。日本ではあまり抱かなかった恐怖感だと思います。本人が「こっちの打者は真っすぐに強い」と自覚しているように、スイングの速さやパワーにレベルの高さを感じていました。ただ、ハイレベルな戦いは望んでいた世界。「レベルが高くて楽しい」と話す顔には充実感がうかがえました。
6月に右肩を痛め、負傷者リスト(IL)に入ってからは、思うようにリハビリを進められない状況にフラストレーションを感じていました。当然、英語を流ちょうに話せるわけではないので園田通訳を頼ります。でも感覚的なことや、細部まで自分の考えや体の状態を100%、リハビリ担当のスタッフやコーチ陣に伝えられなかったようです。決して園田通訳が悪いわけではありません。通訳のプロフェッショナルでも投手のフィーリングを言葉にして伝えることは、とても難しいことだからです。
だからこそ、英語習得のために努力している姿を目にしました。「選手と自分で話せるようになりたい」と週に数日、英会話の家庭教師と勉強に励んでいるようです。春季キャンプ中、アリゾナの滞在先に招かれた際、英語学習のノートを発見しました。さらに「スペイン語もちょっとくらい話せるようになれたら」と意気込んでいます。
リハビリ期間中は、自宅とドジャースタジアムの往復のみ。気分転換に彼から「どこかいいところないですか?」と聞かれました。マリブビーチをすすめ「一緒にいこうよ。車、出すよ」と誘ったのですが、数日後に「行ってきました」と事後報告でした。海の見える小高い丘にあるスターバックスを訪れたこともあったようです。
取材する側になり、登板前日は話しかけることを控えたり、彼の迷惑にならないようにと心がけています。レギュラーシーズンは右肩のけがもあり、不完全燃焼かもしれません。ポストシーズンでは〝由伸無双〟といわれるような好投を期待しています。(元オリックス投手)
■鈴木 優(すずき・ゆう) 1997(平成9)年2月5日、東京都出身、27歳。雪谷高から2015年に投手としてオリックスにドラフト9位で入団し、22年には巨人と育成契約を結んだ。通算成績は27試合で1勝3敗1セーブ、防御率7.91。23年から米ロサンゼルスに移住し、英語を学びながら取材活動を行っている。フジテレビ「newsイット!」でMLBリポーターを務め、サンケイスポーツでも取材協力を行っている。