初球のスライダーをひと振りで仕留め、白球は右翼の芝生に弾んだ。頼りになる背番号8の一打で逆転を果たし、この1点で5月19日のヤクルト戦(甲子園)以来36試合ぶりの逆転勝ち。先制されれば14連敗という負の記録に終止符を打った。交流戦明けは打率・390(41打数16安打)、2本塁打、7打点と絶好調の男が呪縛を解き、貯金が0になった直後の試合では4連勝という反発力も継続した。
岡田監督も決勝の適時打を「初球からミスショットしないでね。良かった」と称賛。捉えた打球が続いているだけに「ヒットの積み重ねが最終的にホームランになる」とさらなる爆発にも期待を寄せた。指揮官の球団単独最多となる阪神での監督515勝目を導いた佐藤輝は、6月27日の中日戦(甲子園)では2安打3打点で監督通算700勝に貢献し、今月3日の広島戦(マツダ)で2本塁打を放って阪神での最多タイとなった514勝目もプレゼント。3連続で将のメモリアルに花を添え「いいんじゃないですか」とはにかんだ。
この日、開幕から1軍で奮闘していた森下が登録抹消された。自身の打撃と向き合って奮闘する後輩を見てきた佐藤輝は「彼なりにいろいろ思うこともあると思う。また頑張ってほしいです」と励ました。
加入直後からすぐに仲を深め、昨季は森下が2軍降格の際に「早く(1軍に)戻ってこいよ」とメッセージを送るなど、時に高め合いながら気にかけてきた大事な後輩。自身も5月に2軍落ちを経験してから現在の好調までたどりついた。再びともに戦える日まで、打線の中心として白星に貢献していく。
ベンチで笑顔の岡田監督。佐藤輝が打てば、節目の勝利が降ってくる(撮影・根本成)「今、結果が出ているので、なんて言ったらいいかちょっとわからないですけど…。良い波に乗れているので、頑張っていこうって感じです」
上位4球団が2ゲーム差の中にひしめく混セの荒波も乗りこなし、連覇という最高のゴールへ。佐藤輝が導く。(邨田直人)
■データBOX
◉…阪神が5月19日のヤクルト戦(甲子園)以来、今季12度目の逆転勝ち。4月だけで10度の逆転勝ちを誇ったが、5月以降の2カ月はこの日まで1度のみだった
◉…先制を許した試合でも5月19日のヤクルト戦での勝利を最後に14連敗していたが、約1カ月半ぶりの勝利となった
◉…5月以降、勝率5割(貯金0)となって臨む試合は4度目だったが4戦とも勝利しており、4月18日に勝率5割を超えて以降は一度も借金生活となっていない