サッカーのアジア杯は19日、1次リーグD組で3大会ぶり5度目の優勝を狙う日本(FIFAランキング17位)がイラク(同63位)に1-2と敗戦。前半に2失点を喫し、後半ロスタイムに1点を返したが、国際Aマッチの連勝は10で止まった。昨年3月28日のコロンビア戦以来の黒星。アジア杯1次リーグでの敗戦は36年ぶりとなった。元J1清水監督のズドラヴコ・ゼムノビッチ氏(69)はサンケイスポーツの取材に応じ、「勝負に『絶対』はない」と苦言を呈した。
日本側はイラクと戦う前からすでに「勝った」と思っていた人が多かった。イラクを過小評価していた。しかし、勝負に「絶対」はない。どんな弱い相手にも負けることがある。それを再認識した試合となった。
イラクは試合を組み立てることを目的とせず、日本のつなぐサッカーを壊す。これを策として講じてきた。1対1の球際を強く、中盤のMF遠藤、MF守田の位置から潰しにきた。当然、イラクの最終ラインに近づくほどプレッシャーは厳しくなり、日本の選手は何もさせてもらえなかった。先発したMF久保も実力を出せず。彼なら状況を打開できる力があったのだが、積極性を欠いてそれを示すことはなかった。スペインでみせているプレーを示すことができたなら、光明が見えていたかもしれない。
守備も相手の単純なパワープレーに苦戦を強いられた。世界のサッカーの潮流はボールを動かすこと。イラクはそれに反して、前線に上背があり、体の大きな選手を配置して、シンプルにその選手を使ってきた。普段、各国のリーグでもそこまで肉弾戦をやる場面は多くはない。20年、30年前のサッカースタイルだが、その攻撃に日本はやられてしまった。
これまでドイツやスペインに勝ってきたが、それは日本が挑戦者だったから。挑戦者は闘志を全面に押し出し、戦いに臨むもの。アジアでは日本が受けて立つ側で、ほかの国々がチャレンジャー。最初から弱いと思っていたら足元をすくわれる。インドネシア戦も注意して臨んでほしい。
▼ドラヴコ・ゼムノビッチ(Zdravko Zemunovic) 1954年3月26日生まれ、69歳。ユーゴスラビア(現セルビア)出身。現役時代は国内リーグなどでプレー。引退後はオシム元日本代表監督が当時指揮を執っていたチームの2軍監督などを歴任し、95年に初来日。2000年12月に清水の監督に就任すると同年度の天皇杯準優勝し、翌年度の同大会で優勝を飾る。ゼロックス・スーパーカップも2度制覇。戸田和幸をボランチにコンバートして才能を見いだすなど、日本代表4選手を輩出。千葉県協会テクニカルアドバイザー、VONDS市原(関東1部)監督、J3岐阜、讃岐監督などを歴任し、現在は兵庫・相生学院高の監督を務める。