熱海プリンの化粧まわしをつけた熱海富士(撮影・渋井君夫) 大相撲九州場所2日目(13日、福岡国際センター)西前頭8枚目の熱海富士(21)は、元大関の平幕御嶽海(30)を寄り切って2連勝スタートとなった。3大関は初日に続いて安泰。9月の秋場所を制した貴景勝(27)は正代(32)を引き落とし、連勝発進。霧島(27)、豊昇龍(24)も2連勝とし、番付に載った3大関全員が初日から2連勝するのは、平成27年夏場所以来(4大関全員を除く)となった。(観衆=5592)
体をいかす。巨体が生きる。自己最高位の西前頭8枚目まで番付を上げた熱海富士が181キロの重さを武器にかえ、元大関の御嶽海を寄り切って連勝発進した。
「前に出られてよかった。どうなっても自分のやることは決まっている」。立ち合ってすぐに左上手を取った。浅いもろ差しを許しながらも胸を合わせ、右からおっつけながら前へ、前へ。先場所も上手投げで勝っており実力者に2戦2勝。貫禄でも負けていない。
再入幕となった9月の秋場所では11勝を挙げ、大関貴景勝と千秋楽まで賜杯を争った。優勝決定戦では大関の立ち合いの変化に敗れたが、初の三賞となる敢闘賞を受賞。ひと皮むけた快進撃の勢いは衰えていない。
21歳ながら勝負にかかわることにはかたくなだ。熱海富士の最後の仕切りは独特で、両足を左右交互に上げてダンスのステップのように後ろへ蹴り上げる。この変則的な動作によって土俵の砂を蹴り上げてしまい、後方の土俵下で見守る勝負審判の顔にかかったことがある。審判部から何度か注意を受けているが、「腹に力が入る」とルーティンを続けている。
男子ゴルフのスーパースター、タイガー・ウッズ(米国)も全盛時にはアドレスに入ると数度のワッグル(クラブヘッドを左右に軽く動かす動作)などが決めごとだった。NBA(米プロバスケットボール)で神様といわれたマイケル・ジョーダン(米国)は、フリースローの前にボールをバウンドさせる回数を決めていた。スポーツ科学ではルーティンによる再現性や集中力を高める効果が確かめられている。
「まだ残りは長い。あと13番もある」。〝なくて七癖〟。おおらかに見守ってあげたくなる。(奥村展也)