一回、犠打を決める中野。日本シリーズでもフルイニング出場で勝利に貢献した(撮影・松永渉平) (SMBC日本シリーズ2023、オリックス1-7阪神、第7戦、阪神4勝3敗、5日、京セラ)耳に届く大歓声が心地いい。中野が全速力でマウンドへと走った。最後までグラウンドに立ち続けた2023年が最高の形で報われた。
「世界一、リーグ優勝、日本一を獲りたいと思っていた。一年でこれだけいい思いをできたのは野球人生の中でもいい財産になりました」
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)からフル稼働。「お祭り男になる」と誓った日本シリーズでも打率・320、5犠打と打線をつないだ。
「やっぱり体的にも一番きつかったのは夏場ですね」
酷暑の8月は疲労困憊(こんぱい)。重たい体を動かし、グラウンドに向かう。ただ、「そこを無理に乗り越えようとせず。『いつかは楽になる』とそこまで考えすぎず野球やってました」。うだるような暑さの中で、頭はシンプルかつスッキリと。この割り切りが功を奏した。
「けがもなく、何事もなく育ててくれて本当に感謝しています」
戦い抜くための土台を築いてくれた両親に感謝は尽きない。プロ入り後、母の日は洋服を、父の日はかばんをプレゼントしてきた。でも、やっぱり一番の恩返しは元気にプレーする姿を見せること。「今年だけではなく来年もずっと試合に出続けられるようにもう一回り大きくなりたい」。日本一の孝行息子は最高の笑顔で頂点に立った。(原田遼太郎)