14日に福岡市で開幕する世界水泳選手権のアーティスティックスイミング(AS)で、32歳の乾友紀子(井村ク)は2年連続の女子ソロ2冠を狙う。今季のテクニカルルーティン(TR)「水のゆくえ」で音楽を手がけたのは、長年タッグを組む雅楽師の東儀秀樹さん(63)。「自分のペースで、出し尽くしてほしい」と最高の演技を願う。
東儀さんの楽曲「鳳凰伝説」を用いたルーティンは、乾の「代表作」(井村雅代コーチ)で、昨年まで長く演じた。地元開催の世界選手権で乾が目指すのは、ASを始めてからこれまでの競技人生を表現すること。音楽を託せるのは東儀さん以外いなかった。
もともとあった「鳳凰伝説」をAS用にアレンジしたのとは違い「水のゆくえ」は新たにつくったオリジナル曲だ。東儀さんによると、振付師から電話でテーマを伝えられて紙にメモを取っている時に「イメージが生まれた」。篳篥やギターなど、さまざまな楽器を全て自分で奏で「僕にしかできない音楽になった」という一曲が誕生した。
会場で試合を観戦したことはまだないが、師弟をテレビ越しに見てきた。「(乾は)本当に演技を楽しんでいる。それを支えている井村さんも日本の誇り」。3月のワールドカップ(W杯)で、初めて「水のゆくえ」を舞った乾は「感動的な音楽で、泣けてくる。会場で流れても他の国とは一味違う」と、かみしめた。最高の調べに乗り、日本の観客の心に刻まれる演技を目指す。