将棋の藤井聡太五冠(20)=棋聖・竜王・王位・叡王・王将=が5日、長野市内で指された第48期棋王戦五番勝負第1局で渡辺明棋王(38)=名人との2冠=に125手で先勝した。2勝1敗で挑戦者の羽生善治九段(52)にリードしている王将戦七番勝負と並行して戦い、羽生九段に続く史上2人目、最年少6冠に向けて好発進した。飯島栄治八段(43)が解説する。
藤井五冠が短期決戦の棋王戦で先勝したことは大きい。6冠への可能性が高まったといえる。
先手番の藤井五冠が十八番の戦型である角換わりに、渡辺棋王が受けて立った。藤井五冠は受けの将棋で驚くような手を指す印象があるが、渡辺棋王に圧力をかけ、攻めの手が光った珍しい一局だった。中盤で銀を狙って桂を打ったのは〝常識外れ〟と言える一手で、優位に立ったポイントとなった。今後も語り草になる手ではないか。
ダブルタイトル戦で過密日程が指摘されている。しかし藤井五冠には負担にならないとみる。
相手の羽生九段と渡辺棋王は世代は違うが、多くのタイトルを取り、本格的な居飛車党という共通点がある。羽生九段との対戦で得たものを、渡辺棋王との対戦にも生かすことができるはず。藤井五冠自身も対局が続くことに「充実感がある」と語っていた通り、ダブルタイトル戦はむしろメリットになるのではないか。(談)
この記事をシェアする