【アナハイム(米カリフォルニア州)6日(日本時間7日)=丹羽政善通信員】米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手(27)が7日(同8日午前10時38分開始)のアストロズ戦で初の開幕投手を務める。「1番・投手」での開幕戦出場はメジャー史上初。日本選手では2019年のヤンキース・田中将大(現楽天)以来の開幕戦勝利投手を目指す。さらに大谷の魔球「ジャイロ・スプリット」の分析と解明に、日本が誇るスーパーコンピューター「富岳」が導入されることが分かった。
新たな二刀流伝説が幕を開ける。メジャー5年目で初の開幕投手を務める大谷。マドン監督は1番での起用を明かしており、「1番・投手」での開幕戦出場は大リーグ史上初の快挙となる。
「試合数や打席数は少ないが、みんな同じだと考えれば十分な準備ができた。慣れも含めて、一番いい状態」
労使対立の影響で当初から1週間遅れで迎える開幕。5日(日本時間6日)の会見で自信を口にしたように、史上最高の大谷を見せる。開幕戦の先発投手では17年にバムガーナー(当時ジャイアンツ)が2本塁打。19年にチャシーン(当時ブルワーズ)が勝利と本塁打を同時達成しており、投打二刀流にも注目が集まる。
注目は野球界だけではない。大谷の魔球解明へ、日本が誇るスーパーコンピューターが解析に挑むことも判明した。昨季被打率・087だった「ジャイロ・スプリット」だ。通常のスプリットはバックスピン(水平軸に回転)がかかるが、大谷のスプリットは進行方向に回転軸があり、らせん(ジャイロ)回転することで大きな落差を生んでいる。
流体力学の専門家で東京工業大学・学術国際情報センターの青木尊之教授は、メカニズムを解明しようと昨年から同大学にある「スパコンTSUBAME3・0」でジャイロ-の数値流体シミュレーションを実施してきたが、「普通のボールとは違う。不明な部分が多い」と結論は出なかったという。
そこで今年に入って解像度の高い「富岳」の利用研究課題として応募。2月17日に一般利用枠の選定課題として「ジャイロ回転する野球ボールの空力解析」というテーマが採択された。
「ジャイロ回転で落とそうとかは考えてない。こういうふうに曲がってくれたらいいなと思ったら、勝手に体がそういう流れになると捉えている」と話す大谷。昨年9月からはスプリットとチェンジアップの中間という進化型も投げており、研究結果が発表されれば大きな話題となりそうだ。
★富岳とは 理化学研究所が運用するスーパーコンピューター。昨年11月、総合的な性能を示す「TOP500」、ビッグデータの解析など4つの世界ランキングでトップに。約半年ごとに発表されるランキングで一昨年6月以来、首位を維持し、世界初の4冠4連覇を達成。
今季からナ・リーグにもDH制が適用され、投手降板後もDHで出場できる通称「大谷ルール」の採用で、打席数の増加が見込まれる。1918年のベーブ・ルース以来となる「2桁勝利、2桁本塁打」や日本選手初の本塁打王へ。日本が、米国が、そして学術界が注目している。
★大谷、MVP最有力 米大リーグ公式サイトは「Sho-time on Opening Day」との見出しで大谷を特集。また公式インスタグラムでは、ラスベガスでリゾートホテルを経営する「MGM」による今季のタイトル争いのオッズを紹介。ア・リーグMVP部門では「4.5倍」で大谷が最有力候補に選ばれ、2位には同僚のトラウトが「5.5倍」で続いた。