江夏の再来-。9月25日の巨人-阪神(東京ドーム)で、阪神・高橋遥人がプロ初完封勝利を達成した。巨人から13奪三振以上を挙げて完封したのは史上7人目で、阪神の投手では1968年9月17日の江夏豊以来53年ぶりの快挙となった。
江夏は66年9月の第1次ドラフト会議で阪神、巨人、東映、阪急の4球団から1位指名を受け、阪神が交渉権を引き当て入団した。巨人戦初登板は67年5月31日(後楽園)。緊急降板した村山実の後を継いで四回から救援登板し、6回を4安打に3失点で勝利。前年から続いていたチームの巨人戦黒星を10で止めた。
同年は12勝13敗、防御率2・74、225奪三振はリーグ最多。新人王は逃したが、翌68年に奪三振能力をさらに開花させる。
9月12日の大洋戦で奪三振数を345まで積み上げ、西鉄・稲尾和久が持つプロ野球記録の353にあと8。同14日の会見で「巨人戦で稲尾さんの記録は破りたい。できればONから(新記録を)狙いたい」と宣言。
首位・巨人と2ゲーム差で迎えた同17日(甲子園)に先発。三回まで打者9人に対して6つと面白いように三振を奪った。四回に土井正三、王貞治からも三振を奪いプロ野球記録に並んだ。五回先頭では、目当ての長嶋茂雄との対戦。しかし、ここから王まで7人に対し〝三振を奪えない〟投球が続く。
投手・高橋一三を二ゴロに仕留め、何とか王までたどり着いた七回1死。観客が固唾を飲んで見守る中、カウント1-2から直球勝負を挑んで王を空振り三振に斬り、公言通りのプロ野球新記録を達成した。同時にスタンドからは色とりどりの風船が夜空に飛んだ。
試合は延長十二回表を終え、江夏が13三振を奪っていたがスコア0-0。その裏、1死一、二塁の好機で巡ってきた打席で、江夏が初球を捉えると打球は右前へ。二走が生還し、サヨナラ勝ちを飾った。シーズン奪三振のプロ野球記録をつくり、自らのバットで勝利を呼び込む見事な完封勝利となった。(記録担当・小川真幸)