銅メダルを獲得した(左から)池、島川、池崎は笑顔で記念撮影。日本を支えた3人だ (撮影・佐藤徳昭) 主将の池(右から4人目)ら日本の選手は銅メダルを手にした東京パラリンピック第6日・車いすラグビー(29日、国立代々木競技場)3位決定戦で、世界ランキング3位の日本は、世界1位のオーストラリアに60―52で勝ち、2大会連続の銅メダルを獲得。5大会連続出場の島川慎一(46)=バークレイズ証券=は試合後、2024年パリ大会での金メダルを目指して現役続行を宣言した。決勝は、準決勝で日本を破った世界4位の英国が米国を54-49で下し、初優勝した。
試合終了のブザーが鳴ると、チーム最年長の島川は主将の池と熱い抱擁を交わした。1次リーグに続き、2連覇中のオーストラリアを破り、2大会連続の銅メダル。安堵(あんど)の表情を浮かべた。
「目指していた金メダルに届かなかったので、悔しい気持ちは強い。それでも、メダルを獲得できてほっとしています。最高のチームです」
プレーに気迫があふれた。第3ピリオド終盤には〝危険な重戦車〟の異名を持つ相手エースのバットに、島川が力強くタックル。衝撃音とともにバットが倒れ、日本ボールに。2連続得点につなげるなど、チーム全員が攻めの姿勢を貫いた。
金メダルへの挑戦が終わった前日28日の英国戦後、経験豊富な46歳が動いた。「このまま(3位決定戦に)いったら絶対負ける」。チームの重苦しい空気を察知し、池に「(試合会場から選手村に)帰ったらすぐにミーティングをしよう」と声をかけた。
選手だけで集まったミーティングで「悔しい気持ちはここで出し切ろう」と呼び掛けた。選手に悔しさを吐き出させることで、気持ちをリセット。銅メダルへ目標を切り替えた。
2024年にはパリ大会が控える。46歳のベテランは「引退する気はさらさらない。進化していくジャパンをもうちょっと見ていたい」と現役続行を宣言。3年後、再び金メダルにチャレンジする。(武田千怜)
地元高知県で練習を積んできた池を応援しようと高知市立高知特別支援学校の生徒が作成し、大会前にプレゼントした旗。「戦え」と記されている(高知市立高知特別支援学校)★ウラ話
「戦え」。そう記された1枚のフラッグは、高知県出身の池に戦う勇気をくれた。車いすラグビーの体験教室に出向くなど交流のあった高知特別支援学校からプレゼントされた子供たちお手製の応援旗だ。
新型コロナ禍での東京大会開催に懐疑論が出る中、「葛藤もあった」と苦悩していた池。子供たちからエールをもらい「応援してくれる人もいる」と背中を押された。
目標の金メダルは届かなかったが、力を出し切った池は「結果だけではない情熱、過程など、テレビの向こうに伝わるものがあったんじゃないかな」と頰を緩めた。
同校の清水隆人校長(57)によると、世界で戦う池との交流をきっかけに、引っ込み思案だった子供の一人が、少しずつ自分から前に出るようになったという。池の貪欲に立ち向かう姿勢は、きっと未来を担う子供たちの背中を押しただろう。(千)