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【虎のソナタ】「G包囲網」どないでしょう? 選手起用でムチャしない、虎番は即却下

四回の攻撃前に円陣を組んだ阪神ナインだが、1点が遠かった

 「1点ぐらい取れよ」と電話でエールを送ったのは試合前だった。

 「はい、1点ぐらいは取りたいです」。東京ドームの記者席。阪神キャップ大石豊佳の言葉の力も弱かった。そして、この展開…。

 それにしても困ったもんだ。巨人はドンドン先を行く。われらが阪神は、その巨人に一方的に負けるもんだから、差が広がる一方。

 で、他チームはどうなのかと見てみたら、辛うじてDeNAが貯金を何とか維持して巨人を追いかけようとしているが、なかなか縮まらない。ヤクルト、中日、阪神はほぼ団子状態。さらに下に、広島がいるんだけど。

 もう一度書く、困ったもんだ。去年までとはルールが違うんだから。

 ことしはコロナの影響でシーズン短縮。そこでセ・リーグが選んだのは、クライマックスシリーズ(CS)の中止。つまり、優勝チームが日本シリーズにそのまま進出する。2位や3位から、下克上での日本一の道はない。まあ、2000年代の前半まではそれが当たり前だった。

 「優勝しなきゃ意味がない」と監督や選手には今もCS否定論者が多いのだが、最後のCS進出争いは異様に盛り上がるのが近年の傾向。「消化試合」なるものがなくなって、球界を大いに盛り上げてきた功労者の一つがCSだった。

 それをなくしたシーズンで、超独走チームが現れたら…。その最悪シナリオが現実になろうとしている。

 「昔の人は偉かった」というテレビ番組のコーナーがあるが、こういうときに、昔の人はどうしていたか。連合軍を組んだんです。

 「西武包囲網」

 名将・森祇晶率いるライオンズの黄金時代に、どうしても勝てないパ・リーグの監督たちが、できる限り西武戦にエース級をぶつけていく。そして、混戦に持ち込む。みんなで取り囲もう、の発想だ。

 真っ先に提唱するのは当時近鉄監督・仰木彬。実際、どこのチームよりもエース級を無理してでも西武戦に投げさせた。これにオリックス監督・上田利治、日本ハム監督・大沢啓二らが呼応して、死力を尽くした。見応えはあった。

 とはいえ、ライバル同士だから、ずっとみんな仲良く…とはいかない。

 あれは1989年。例によって仰木さんは「西武包囲網」を提唱してシーズンイン。ところが、開幕からオリックスが独走した。焦った仰木さんは突然、「オリックス包囲網」を他球団に呼びかけたのだ。これには首位快走中のウエさん、怒ったのなんの。「ホンマ、身勝手なやつや」と。

 ただ、取材している側にとって、これほど面白い展開はなかった。森、仰木、上田…。登場監督が腹芸のできる、器の大きな指揮官がそろっていたからなんだろうな。

 矢野監督に提案してみたらどうだ? 今こそ巨人包囲網を。

 キャップ大石は笑って即座に却下だった。

 「監督は、おそらく投手を無理させることのほうを避けると思います」

 実直な矢野監督だから、選手起用でムチャはしないか。

 「試合前の練習中には、前日打たれた望月と話し込んだり。打開策に懸命なんで、何とか報われてほしいです」

 そんな思いもむなしく。いつになったら勝てるのか。その前に、いつになったら点が入るのか。

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