岩貞が左腕をしならせる。バットを構えた金本監督がサングラス越しににらみつける。1球、2球…。直接対決で5球目を終えた後、指揮官はスッと打席を外した。
そのままネット裏に戻ると思いきや、捕手を務めた梅野に顔を近づけ、なにやらゴニョゴニョ。実は、そこで強烈なダメ出しがされていた。
「『2週間調整すれば、この球は打てる』といったんや。(梅野に)『伝言しとけ』と。冗談よ、冗談(笑)」
金本監督が振り返る。
確かに指揮官は今も筋肉隆々。今すぐにでもかっ飛ばしそうなフォームは実にカッコイイ。でも、2週間という数字があまりにもリアルなだけに、今季大卒3年目で初の10勝をマークした左腕にとっては、きつ〜いジョークに思えたが…。
伝言を託された梅野は岩貞が79球を投げ終えた後、投球内容の振り返りを終えた後、例の「2週間発言」を耳打ちした。岩貞はニヤッ。指揮官は指でピースサインのような「2」を作り、ケラケラと笑っていた。実はその後、岩貞と梅野にしか知らない会話が繰り広げられていたのだった。