望むところだ。最終第6戦用の秘策だったが、この日はマーティンが左足首に異変を訴え、ベンチを外れた。守護神不在の一戦で、一回に先発の加藤が4失点。すると大谷はその裏、打席に向かう前に、自ら栗山監督に目でシグナルを送った。
四回、今度は厚沢ベンチコーチに「行きましょうか」と直訴。五回には二塁内野安打で出塁し、近藤の2点適時打で生還。「DHで出ていたので、体が軽くなかった。逆にそれがよかったのかもしれない」。打席の間にキャッチボールで準備を進めた。
責任感は人一倍。天然キャラで先輩たちを振り回すが、周囲への気配りも欠かさない。ベンチでは大声を張り上げてチームを鼓舞する。第1戦に勝ち、戻った札幌市内の合宿所の食堂で、第2戦先発の増井に駆け寄った。「勝ちました。プレッシャーをかけておきましたからね」。ちゃめっ気たっぷりのエールで、先輩を和ませた。
いよいよ、初出場となる日本シリーズ。22日の第1戦(マツダ)の先発登板は決定的だ。「ワクワクします。厳しい戦いが続きますが、全員できょうみたいな野球をして、日本一になりたい」。花巻東高時代にしたためた「165」の目標は果たした。次はプロ入り時の目標「日本一」へ-。野球界の千両役者として、堂々と広島に乗り込む。 (中田愛沙美)