宮西が、谷元が、杉谷が、ベンチ前で静かに花道を作る。仲間に送られて、魔神のように厳しい表情で、大谷がマウンドに立った。確信に満ちた、スタンドの4万1138人の歓声が背番号11を包む。全身の力を込めて、右腕を振った。165キロ! まるで漫画の主人公のように、輝いた。
「最初から投手を使っていたので、勝ちパターンになっていけば、終盤に人がいなくなる。おそらくあるだろうなと思っていました」
一回に4点を失い、栗山監督が前掛かりの投手起用に打って出た。二回からの猛攻で、試合をひっくり返した。大谷は七回に左飛に倒れた後、ブルペンへ。肩を作り、集中していった。
九回。先頭・松田への初球は163キロ。続く吉村の初球で自己最速を1キロ上回る165キロ。2者連続三振を奪うと、本多にも165キロを2球投げ込み、最後は149キロのフォークボールで遊ゴロに打ち取った。ストレート8球の平均は164・125キロ。唯一の150キロ台(151キロ)は、なんとフォークだった。
12日の第1戦では7回1安打無失点で勝利投手。第2戦からDHで出場を続けた。14日、栗山監督から「ここだけは無理をするぞ」と、2013年8月18日のソフトバンク戦(帯広)以来となる打者出場からの救援登板を打診された。