2点差に詰め寄られた直後の六回。先頭の陽川が右前打し、梅野が捕前犠打。一死二塁。金本監督が球審に名を告げる。「代打・原口」。1ストライクからの2球目、143キロを一閃。三遊間を破り、二走が悠々生還。「嫌な空気は感じつつ、1点取ればまた流れが変わると思ったので」。本当に変えた。期待通り、ひと振りで-。
これで今季代打で15安打目となり、桧山進次郎の球団記録23にあと「8」と迫った。代打成績は驚異の打率・517(29打数15安打)、12打点。得点圏での代打打率は・750(12打数9安打)だ。「代打の神様」に近づいても、本職は捕手。今もマスクを欲し続けているが、焦り、一喜一憂しすぎていた自分とは決別した。だから、一瞬にすべて懸けられる。
6月1、2日の、故郷・埼玉での西武戦(メットライフ)。スタメン出場しながら2戦で6打数無安打に終わった。3日の3戦目には家族も観戦に訪れたが、出番なし。「もう、決めたんです。楽しんでやろうって。最後に『あ~楽しい人生だった!』って笑えるように、してみせます」。吹っ切れた。夢から仕事になってしまっていた野球を、今は全身で楽しむ。