ラッキー7で風船を飛ばす広島ファン=マツダスタジアム ついに広島が25年ぶりのリーグ優勝をつかもうとしている。マジック「2」で迎えた8日の中日戦(マツダ)は、勝って、巨人が敗れたら本拠地で胴上げ。マツダスタジアムが開場して以来、史上最多となる3万2546人の観衆が集まった試合は、まさに異様な雰囲気だった。
試合中はプレーが止まっているのにどよめく。巨人の阪神戦(甲子園)の経過を携帯電話で確認している観衆の声だ。少し遅れて、甲子園のスコアが場内ビジョンに映し出される。先発した野村祐輔投手も「『ワッ』となったから何かと思ったら、センター(ビジョン)に。特別な雰囲気だった」と驚いていた。
ファンの期待は試合開始の何時間も前から膨れあがっていた。入場ゲート前に長蛇の列。当日券ではなく、自由席のチケットを持った人々だから驚かされる。少しでもいい場所で見届けようと深夜から待ち続けていた。
先頭に並んでいた廿日市市の前田吉邦さん(51)は7日の試合を観戦後、そのまま並んだ。グループで場所を確保しながら一夜を明かした。一緒に並んでいた東広島市の日田克広さん(59)はその間に夜勤の仕事で職場に直行し、そのまま球場に戻っていた。実はこの2人、もともとは知り合いではなかったという。過去の試合で、何度もこの場所に並ぶうちに顔見知りに、そして友人関係になった。
この19年、本拠地の全試合を観戦しているという日田さんは「ここはコミュニティーなんです。自然と仲良くなって、カープの情報を交換したり。中には本名も知らない人もいます」と周囲を見渡した。「前回の優勝からあまりに長くて。死ぬ前にもう一回優勝が見たかった」。その感激を「カープ」という絆でつながった仲間と一緒に味わえることにも感極まっていた。
広島県民をつなぐことも、赤ヘルの大きな力のひとつだ。飲食店従業員は「カープが負けた日は街に人が少ない」と語る。タクシーに乗れば、運転手がすぐにカープの話題を持ち出す。そんな町で予想される経済効果は、県内だけで約331億以上と予測される。四半世紀ぶりの感動は、すぐそこだ。(安藤理)