鏡開きをする掛布雅之氏、阪神・藤川球児監督 =大阪市内のホテル(撮影・甘利慈) 現役通算349本塁打を記録し、今年1月に野球殿堂入りした阪神・掛布雅之OB会長(70)の「野球殿堂入りを祝う会」が2日、大阪市内のホテルで行われ、約400人が出席した。来季、球団初のセ・リーグ連覇を目指す上で、掛布氏はキーマンに大山悠輔内野手(30)を指名。自身の入団時に主砲だった田淵幸一氏や、のちに4番を務めた自身のように、負けを背負える存在として期待した。
野球殿堂入りを祝ってもらい、胸が熱くなった。今年1月の通知式から11カ月が経過しても興奮はさめない。掛布氏はプロ野球の世界に飛び込んだ50年以上前を回想し、感慨に浸った。
「僕はテストで入って…。殿堂入りするような選手になれるなんて思っていなかった」
入団テストを経て1974年ドラフト6位で阪神に入団。寝る間も惜しんで練習した努力が実り、本塁打王に3度輝くなど「ミスタータイガース」と呼ばれる選手になった。自身も紡いだ90年のタイガースの歴史。来季、後輩たちは球団初のセ・リーグ連覇に挑む。偉業へのキーマンは佐藤輝でも森下でもない。掛布氏が指名したのは大山だ。
「大山がいるから彼ら(佐藤輝や森下ら)が育っていたわけで。勝つことは今、佐藤(輝)は背負えるけど、負の部分を背負えるのは大山しかいない。数字以上に大きな存在だと思う」
今季、大山は打率・264、13本塁打、75打点。本塁打&打点の2冠に輝いた佐藤輝、ともにリーグ2位だった森下に比べると物足りない成績だが、チームへの貢献度は数字では計れない。
「僕らの(若手の)ときの田淵(幸一)さん。僕が中心になったときは僕がそうだったかもしれないし、大山にはそういうね。大山の存在というのは、連覇のためには絶対いなきゃならないカードだと思う」
掛布氏が若手の頃、「4番・田淵」が敗戦の責任の矢面に立ってくれた。球団初の日本一に輝いた1985年は「4番・掛布」がその役割を担った。
「勝つチームでも負けることはあるわけだから、それを背負える選手は前に進むために大切だと思う。そういうのは自分でも感じながらやっていたし、それが自分の仕事とも思っていた。そういう選手がいるといないのでは、全然ほかの選手が楽になる」
掛布氏は11月17日に巨人・中畑OB会長と出演したトークショーで、ドラフト1位・立石(創価大)の3番起用を提言。4番・佐藤輝、5番・森下、6番・大山の打順プランを披露していた。今の阪神で責任を背負うのは4番ではない。若いクリーンアップが失敗を恐れず、暴れ回るためには大山の存在が欠かせない。
「来年、連覇すれば、黄金期と言われる。今の阪神はフロント、現場も含めて、すごくいい形で一つになって、前に進んでいる。今なら連覇できるんじゃないか」
野球殿堂入りした掛布氏が実現できなかった連覇。その鍵は大山が握っている。(三木建次)