阪神の話題の事象をさまざまな角度から深く掘り下げる「虎博覧会」(不定期掲載)。今回は2日に引退セレモニーを行った原口文仁内野手(33)とドラフト4位新人・町田隼乙捕手(22)の〝師弟〟のエピソードを紹介。プロ入り前から原口にアドバイスをもらった町田は、お世話になった先輩の引き際を目に焼き付け、恩返しの活躍を誓った。
耳をつんざくほどの大歓声の中で決意した。ずっとお世話になった原口の引退セレモニーは、初めて甲子園で試合を観戦した町田の心を震わせた。
「原口さんがやりきったと思っているか、悔いがあるかどうかはわからないですけど、自分たちのモチベーションになったというか。もっと頑張ろう、もっとやんなきゃ駄目だなっていう思いにさせてくれました」
原口の晴れ舞台を見るために、2軍からも多くの選手が駆け付けた。町田も「最後なので見に行きたい」と同期を誘い、早川、木下、今朝丸と4人で球場に向かった。
「原口さんが地道にコツコツ一人で練習しているところも見ていた。誰からも尊敬されて、愛されている人ってこういう人なんだなと感じました」
独立時代に阪神の春季キャンプにブルペン捕手としてアルバイトで参加していた頃から、12学年も上の原口から気にかけてもらってきた。プロでともにプレーしたのは今季の一年のみだったが、弟のようにかわいがってもらった。
「2軍でロッカーが隣で、いつもバッティングフォームを見てくれた。(自分の)独立時代のもの(映像)をYouTubeで探してくれたり。けがをしたときには、病院も紹介していただきました」
親身になって相談にも乗ってくれた。1年目に1軍昇格はできなかったが、感謝してもしきれない。だから、そんな〝師匠〟の最後の試合は必ず自分の目に焼き付けたかった。
「初めて甲子園でのプロ野球の試合を見て、それが原口さんの試合でよかったです」
引き際を目の当たりにし、心が奮い立たされた。先輩に恩を返すためにも、町田は来季こそ1軍の舞台に立つ。(中屋友那)
■町田 隼乙(まちだ・はやと) 2003(平成15)年4月3日生まれ、22歳。神奈川県出身。大根小3年時に秦野ドリームスで野球を始め、大根中時代は平塚ボーイズに所属。光明学園相模原高では甲子園出場なし。22年にBCL・埼玉に入団して1年目から正捕手を務め、23、24年はベストナインを受賞。23年から2年連続で阪神の春季2軍キャンプにブルペン捕手として参加。25年ドラフト4位で阪神入団。今季ウエスタン・リーグで31試合に出場し、打率・152、0本塁打、8打点。年俸750万円。右投げ右打ち。186センチ、88キロ。背番号「43」