ナインと談笑する佐藤輝(左から3人目)。名実ともにチームの顔となった 史上最速優勝を成し遂げた、今季の阪神の舞台裏を探る連載「球児トラ界隈」。第11回はスタメンに復帰した佐藤輝明内野手(26)。猛虎打線の象徴となった主砲がつかんだものとは…。
独走優勝は、この男の覚醒なくしてはあり得なかった。佐藤輝は虎の顔としての自覚と自信で満ちあふれていた。
「もう(プロ)5年目なので、今年も若い選手がたくさん出ていますけど、そういう選手に声かけたりとかというのは年々増えてきています。グラウンドでもそうですけど、見えていないところでみんな準備というのはすごく大事にしている」
藤川監督からは就任当初からキーマンに挙げられていた。「監督が最初から言われていた『姿勢』。これは常に意識していました」。開幕当初は3番だった打順も、チーム14試合目から4番を任されるようになった。
「自分のバッティングをよく見て、理解することが大事なんじゃないかなっていうのはずっと思っていた。そういう意味では、少しずつ自分のバッティングを客観的に。感覚もそうなんですけど映像で見て、いいとき、悪いときがちゃんとわかるようになってきた。そこは成長ですよね」
自分を理解する。試合前練習後は自らのフォームを見返した。「打撃フォームは一番大事にしてきたところ。そこが全てだと僕は思っています」。自宅でベッドに入ってからも思い立って素振りをすることもあった。
努力がもたらした覚醒だからこそ、自信を手にすることができた。
「浜風や甲子園の広さが年々厳しさを感じるようにはなっていた。すごく自信になります」
左打者に不利とされる浜風が吹き、投手に有利な広い甲子園を本拠地としているからこそ、残している数字は価値を増す。本塁打&打点のタイトル2冠へ。勲章を手にしたとき、佐藤輝の自信は確信に変わるはずだ。(原田遼太郎)