阪神の新入団選手にスポットをあてる連載「岡田監督の初心(うぶ)LOVE なにわ虎男子」。ドラフト2位・門別啓人投手(18)=東海大札幌高=の第2回は富川中軟式野球部の恩師・加賀荘史(まさふみ)さん(40)=現・平取中学=と両親が、練習に没頭していた中学時代を振り返った。(取材・構成=織原祥平)
富川中軟式野球部の集合写真に収まる門別(最後列の右から2番目)。野球に夢中の日々を過ごした(家族提供)軟式野球部だった富川中では入部当初から頭一つ抜ける存在ではあったが、誰よりもプロ意識が高く、練習の虫だった。
「走ることは嫌いじゃない」と本人が話すように、家の付近を周る5㌔のコースを走ることが日課だった。反抗期の年頃でも決して怒りを態度に出すことはせず、そんな感情もすべてトレーニングにぶつけた。「何かしら(イライラすること)はあったと思うけど、あってもすぐに家を出て走りに行っていた」と母・美保さん。ランニングのために一度、家を出るとなかなか帰ってこない。雨の日も、雪の日も例外はなく、あまりにも雪が深いときは両親に車で体育館に連れていってもらったこともあった。
そんな真剣に野球を打ち込む左腕に対し、同校の監督だった加賀さんが一度だけ怒ったことがあった。1年の秋に行われた練習試合で先発した啓人は相手の打線につかまり大量失点すると、打席でもベンチからのサインで試みたスクイズを失敗。集中力を欠いたプレーの連続に恩師も愛のムチを打った。「お前はチームを勝たせる選手。それがああいうプレーをしていたらダメだぞ」―。反省し、悔しくてたまらなかった啓人はボロボロと涙が止まらなかった。
北海道U-14選抜でキャプテンを務めた門別(最前列中央)。賞状を手に満面の笑みだ(家族提供)