近本㊨は表彰式でミキハウスの大野莉奈さん㊧から花束を受け取る。撮影時はマスクを外しています(撮影・水島啓輔) 来年こそ、優勝を―。「ミキハウス・サンスポMVP表彰式」が6日、大阪市浪速区の産経新聞社大阪本社で行われ、阪神・近本光司外野手(27)が昨年に続き、第34回MVP(賞金100万円)に輝いた。今季は178安打で最多安打、ゴールデングラブ賞と2つの初タイトルを獲得する活躍ぶりだったが、V逸した経験から1年を通じて活躍することの重要性を強調した。
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難波に近本が帰ってきた。今年も無観客での表彰式。それでも2年連続のミキハウス・サンスポMVPに花束を受け取ると笑顔になった。今季の虎は、いわば浮き沈みの激しい船。わずかに届かなかった頂点へ、チームを導く選手会長は2022年のV航路を描いた。
「最後に優勝したらいい、打率も終わったときに3割に乗っていたらいいというのは、あまり好きじゃない。主観ですが、コンスタントに打つ方が大事。そっちのほうが計算もできるし、安定した成績だから、チームとしての信頼もある」
阪神は今季、開幕戦から快進撃を続けた。前半戦は48勝33敗3分で貯金15。当時2位の巨人とは最大7ゲーム差をつけた。しかし、夏場以降は失速。前半戦をけん引した新人の佐藤輝やサンズ、主砲・大山の不振もあって7月のチーム打率は・234。9月には同・227まで落ち込んだ。最終的に勝率5厘差でリーグ優勝を逃した。
近本㊨は澤井取締役㊧からミキハウスの子供服を受け取る一方、近本が掲げる理想通り、大きな波に苦しむことなく走り抜けたライバルがいた。
「ずっと(打率)2割8分の方が強いと思う。それがヤクルトの打線だったんです。前半、打てなかったというよりも、前半からみんな一緒くらいだった。それがずっと続いていた」
ヤクルトは春先からジワジワと調子を上げ、6月以降にチーム打率が2割5分を割ったのは10月だけだった。スタートダッシュを決めた虎が兎なら、ペースを乱さなかった燕は亀。この違いが明暗を分けた。「全員が2割8分打っていたら、1試合に10安打。ということは、みんなが1試合に1本ずつ打っていたら、それで勝てる」。固め打ちしてシーズン打率3割、30本塁打に到達することも否定しないが、それより毎試合、勝利につながる1安打を打った方が価値がある。それがプロ3年目を終えて導き出した近本の答えだった。
来季はこの考えをチームに浸透させていく。近本自身、苦手なのは開幕直後だけ。プロ3年間を見渡せば、大きなスランプと呼べるような時期もない。2021年は178安打で最多安打のタイトルを初戴冠した。言葉に重みを与える実績も十分。17年ぶりのリーグ優勝へ、これ以上の旗振り役はいない。
「打てるときにいっぱい打っても、打てない試合があって、1本も打てなかったら、勝てる確率は低い。ずっと同じような成績で打ちたいと思います」
波のない安定した航路を進めば、リーグ優勝という最高のお宝が待っている。来年こそ、ファンの前でV報告。2022年も虎の先頭に立ち、再びここにやってくる。(原田遼太郎)