8日の京都競馬が積雪のため中止となり、10日に代替競馬が開催されました。輸送や調整などの関係から関東馬にとっては厳しい遠征になるだろうと予想される中、美浦・斎藤誠厩舎のブライアンセンス(牡5歳)が、メインレースのアルデバランSを勝利。レースまでの3日間をどう過ごしたのか、担当の小原秀之調教助手にお話をうかがいました。
「輸送は予定通りで、金曜(7日)に到着しました。夕方から雪が降り始めたので、嫌な予感はしていました。翌朝は運動に出たのですが、装鞍所に行ったら滑る状態になっていて、危ないので切り上げて戻ってきたら中止と言われました。せっかくうまく調整できたのに、まさか最後にこんな強敵が…。天気まで邪魔するのかと(笑)」
やはり雪が降って積もった状態になると滑ってしまうそうで、もし馬が暴れたりしてしまった際は大けがにつながります。せっかくいい状態で輸送できても、行いたい調整ができない中でその状態をキープすることは至難の業だったはずです。
「土曜の夕方頃から雨になって雪が解けたので、その隙に歩かせました。到着してから4キロくらい馬体重は増えてしまったのですが、エサの量を減らすわけにもいかないので、消費させるために朝と夕方にひたすら歩きました。さばきが硬い馬なので、本当は走らせたかったのですが…。とにかく運動とストレッチをするしかなかったです。ウオーキングマシーンになった気分でした(笑)」
ここで気になったのがストレッチ。馬のストレッチといえば、コントレイルがする伸びのポーズが真っ先に思い浮かぶのですが、人が手伝うことができるのでしょうか。「ストレッチは片脚を持ってグーッと引っ張ってあげます。毎日やってあげています。ルーティンみたいなものですね」と小原助手。実際にやっているところを見たことがないので、また機会があれば取材させていただきたいと思います!
さて、馬はとにかく歩いてストレッチをして当日を迎えたことが分かりました。小原助手は急きょの延泊中、どう過ごされていたのでしょうか。
「寒かったのでずっと部屋にいて、ゲームをしていました。2頭連れていっていたので、運動で体力を全部使ってしまいました。とにかく休まないと動けなくなってしまうので、余計なことは何もしなかったです。せっかくなら観光にいきたかったですけどね(笑)」
せっかく4日も京都にいたのに、どこにも行けなかったのは少しもったいない気もしてしまいますが、勝利を飾ることができて、大変だった4日間が報われたのではないでしょうか。
「そうですね。勝ってくれて本当によかったです。さすがに人の疲れは吹っ飛びませんでしたけどね(笑)」
デビュー時から担当する同馬のことを小原助手は「ブーちゃん」と呼んでいるそう。担当馬とトレセン以外の国内でこんなに長く一緒にいることはレアなはず。ブーちゃんとの3泊4日の〝京都旅行〟は、こうして最高の形で締めくくられたのでした。
約5カ月の休み明けかつ、イレギュラーな調整を強いられた中での快勝。ますます今後の活躍に期待が高まりますよね。ということで、最後に今年の意気込みをうかがいました。
「去年のラジオ日本賞からしばらく休んでいましたが、その間に馬はだいぶ良くなりました。休んでいる間も牧場のほうでしっかり乗り込んでくれていたので、帰ってきたときは成長を感じました。去年はあまり数を使えなくて馬主さんには申し訳なかったので、今年の初戦を勝ててよかったです。今年は去年のぶんも取り返さないと、と思っています。何とかもうひとつ高みを目指したいです」
レース翌日の情報では、次走はマーチS(3月30日、中山、GⅢ、ダ1800メートル)が有力で、アンタレスS(4月19日、阪神、GⅢ、ダ1800メートル)も視野に入っているとのこと。どんな走りを見せてくれるのか、今から楽しみです。