追い切り翌日はリラックスムードのソールオリエンス。最強の❸枠⑤番をゲットして〝3冠〟ロードをまっしぐらだ(撮影・塩浦孝明) 第90回を迎える競馬の祭典・日本ダービーの枠順が25日、確定した。史上8頭目の無敗の2冠馬を狙うソールオリエンスは、❸枠⑤番に決定。過去89回で8勝と最多タイの勝利数を誇る馬番で、近年ではディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイルと3冠馬を輩出している吉兆枠だ。運も味方につけたソールの無敗2冠制覇が、限りなく近づいてきた。
史上8頭目の無敗2冠を目指すキタサンブラック産駒が、天運までも味方につけた。25日の午後2時過ぎに発表された第90回日本ダービーの枠順。皐月賞馬ソールオリエンスが入ったのは❸枠⑤番。長いダービーの歴史をひもとくと、実はこれ以上ない〝最強枠〟なのだ。
⑤番枠は1957年のヒカルメイジを皮切りに歴代最多タイの8勝。しかも、2000年以降では05年ディープインパクト、11年オルフェーヴル、20年コントレイルと歴史的な名馬が制し、秋には3冠まで達成している。さらに、先週のオークスで6馬身差の独走Vを飾ったリバティアイランドも同じ枠順からスタートしていた。まさにスーパースターへの階段を歩むのにふさわしいゲートだ。所属する手塚厩舎で番頭格を務める平塚助手も好枠を歓迎する。
「皐月賞のときは極端な枠だけは嫌だと思っていたら①番枠。それでも、最内枠をはねのけて勝ってくれたからね。(広い東京の)ダービーならどこでもいいと思っていたけど、いいところじゃないですか」
東京競馬場の芝は今週からCコース(最内から6メートル外に柵)に移行する。先週までの競馬で傷んだ部分がカバーされる形になり、内を通る馬が有利な設定だ。ダービー週からCコースが使用されるようになった09年以降の14回では、①~⑤番の馬が8勝を挙げている。その観点からも、内めの枠順は強烈な追い風になる。
馬自身の状態もピークだ。24日の最終追い切りは美浦Wコースで6ハロン6ハロン84秒3―11秒3の好タイムをマークし、僚馬に1馬身先着。手綱を取った横山武騎手が「具合は1段階上がったなという印象です」と手応えを口にすれば、手塚調教師も「こちらが思った通りの動きで申し分なかった。今のところ不安な点はないような気がします」とうなずいた。
戦後最少のキャリア2戦で制した皐月賞は、4コーナーで膨れてほぼ最後方に置かれる形になりながら、ライバルたちを一気にごぼう抜き。あの強烈すぎる末脚は、直線が長い府中のターフでこそ真価を発揮するはずだ。のちにGⅠ7勝を挙げて国民的ヒーローとなった父が、8年前に14着と涙をのんだ競馬の祭典。絶好枠も味方につけた孝行息子が雪辱を果たして〝まつり〟の主役を演じ切る。
★25日のソールオリエンス
普段の追い切り翌日と同様に、厩舎周辺で引き運動を行った。初夏の陽光に照らされ、鹿毛の馬体が美しく輝いていた。平塚助手は「変わらずに順調です。追い切りも青写真通りでしたし、言うことありません」と好気配を伝えた。