【日曜札幌11R・キーンランドカップ】
ひいきの居酒屋のカウンター席でヱビスビールを飲んでいると、バイトの桃ちゃんから叱責された。
「なんで連れてきてくれなかったんですか」
そう言われてもねえ…。
先週のことだ。
僕と桃ちゃんがそろって札幌記念と北九州記念の馬券を外したら、LINEの人をここに連れてきてほしいと桃ちゃんからお願いされた。難しい夏競馬で3連単を当てまくっているLINEの人に弟子入りを申し込むのだという。
そして先週、われわれは見事に馬券を外した。
北九州記念は、桃ちゃんの◎タイセイビジョン(3番人気)が2着、僕の本命ナムラクレア(2番人気)が3着に来たのだが、勝った16番人気のボンボヤージが2人ともヌケだった。札幌記念では桃ちゃんの本命ソダシが5着で、僕の◎グローリーヴェイズは6着。これでは予想も馬券も当たらない。
「ソダシちゃんはなぜ負けたの?」
「サンスポZBAT!競馬」の超便利なデジタル競馬ツール「Deep」にあるレース直後の吉田隼人騎手のコメントは「状態も良くて、前の馬をマークしながら折り合いもついてイメージ通りでしたが、相手が強かったと言うしかないですね。完敗でした」だって。須貝尚介調教師は、サンケイスポーツに〈「これではっきりしたかな」と切り出し、「(前年より3キロ重い)斤量もあったかもしれないが、距離だね。4コーナーまでいい感じで来ていたのに直線で伸びなかった。この馬はマイルが適距離。残り2ハロンはきつかった」と振り返った〉とある。敗因を距離に求めているね。
「確かに、クロフネ産駒だし、ヴィクトリアマイルでの強さを見ると、年齢を重ねてマイル適性が強くなっているのかな…。じゃあ、秋はマイルチャンピオンシップか。もしかすると、そのあとは香港マイルに参戦したりして。日本の誇るアイドルホースのアジアデビューがあるかもしれないですね。それはそれでいいかも。札幌記念は鈴木さんも完敗」
うん。パンサラッサがどれだけ後続を離して逃げるかが鍵となりそうとか言っていたら、後続を引き離すことなくマイペースの逃げを披露。2着に粘られてはお手上げだよ。でも、それにしてもグローリーヴェイズはどうしたんだろう。ルメールの手が動くのが早すぎだよ。鞍上は休み明けと2000メートルのせいだって。休み明けで3~4コーナーの反応が少し遅く、もっと長い距離の方が良さそうだってさ。ということは、秋以降はジャパンCから香港ヴァーズになるのかな…。香港で輝きを取り戻しそうだね。
「そして北九州記念は単勝万馬券で、ぐうの音も出ず」
単勝164.3倍の馬は、僕には買えないよ。でも、ファンタジストの妹という良血なんだよね。成績に惑わされてはいけないんだけど、走らない良血というのもいるから…。競馬は難しい。WIN5を見ても、多くの人がボンボヤージをノーマークにしていたことがわかる。2レース目が終わった時点で残り票数が16万3317票もあったのが、3レース目の北九州記念が終わると一気に496票まで激減したからね。それでも496票残っていたというのはすごいけど…。で、4レース目が終わった時点で残り43票で、最後の5レース目の札幌記念が終わると的中は5票。9370万6710円を当てた方、おめでとうございます。
「その中にLINEの人もいたりして」
残念ながらWIN5は取れなかったって。「外した37人の気持ちを考えたら心臓バクバクします」というLINEが来た。最終レースを1点だけ買っている人もいれば複数買った人もいるだろうから37人が外したわけじゃないけど、最後にジャックドールを切った人も中にはいるはず。その人はお気の毒さまと言うしかないね。僕にはそういうドキドキ感すら味わったことがないけど…。笑いすぎだよ、桃ちゃん。
「だって、鈴木さんがWIN4まで当たり続けることなんて絶対に考えられないから」
本当のことだけに反論できないけど、傷つくね。
「ドンマイ。そういえば、LINEの人について鈴木さん、『WIN5“は”取れなかった』と言いましたよね」
うん。
「ということは、3連単の方は…?」
札幌記念を「小さくとりました」って。
「なんで連れてきてくれなかったんですか」
ようやく冒頭に戻ったね。
本人が遠慮したいって。
「なんでです?」
札幌記念の3連単を当てたといってもトリガミだったし、なにより弟子を取りたくないって。
「私が弟子になりたいってことも言ったんですか?」
うん。
「そんなこと言われたら、誰だって尻込みしますよ。そんなこともわからないんですか? あーあ、来ないのは鈴木さんのせいだ」
悪かったね。
「LINEの人がこのお店に来るよう、引き続き努力してください」
やれやれ。
「そろそろ予想に移りましょう。今週はなんとしても当てないと」
そうだね。
「勝負レースは?」
キーンランドC。日曜札幌で行われる今年最後の重賞にするよ。
でも、その前に新潟2歳Sの予想を少々。
本命はロードディフィート。出走馬の前走のレース映像を見返して、センスの良さを一番感じたからだ。新潟2歳Sは例年、スローペースからの末脚勝負で決着しており、末脚のしっかりしている馬を狙うのが定石だ。出走メンバーのうち、前走で上がり3ハロンがメンバー最速だったのは5頭もいるが、その中で最もセンスを感じたのがロードディフィートだった。好位でレースを進めてしっかりした脚取りで抜け出した大人びたレースぶりは、この時期の2歳馬とは思わせないものだった。
印をつけるなら◎ロードディフィート、○ウインオーディン、▲アイスグリーン、△シーウィザード、キタウイング、バグラダス、チカポコだが、馬券は単複を買いたい。
さて、勝負レースのキーンランドCだ。
本命は、昨年の勝ち馬レイハリア。
去年のこのレースを勝ったあとは京阪杯、高松宮記念とも惨敗だった。そこで無理せずしっかり休ませて臨んだ前走の函館スプリントSでは2番手を進んで一旦は先頭に立つ積極的なレースを見せて3馬身1/4差の4着と踏ん張り、復調気配を示した。
本命にした最大の決め手は、ブリンカーを装着すること。これにより調教では併せ馬でかわしてからも集中して走っていたそうなので、実戦にいっても効果がありそうだ。リピーターが強いレースだし、前走から引き続き手綱を取る松岡正海いわく「体調はすごくいい。体に張りがあり、腰も前回よりいい」。それなら相性のいい舞台での復活があっていい。
桃ちゃん、よろしく。
新潟2歳Sの本命は?
「アイスグリーンくんにしました。日本一の生産牧場ノーザンファームの生産馬はこの馬1頭。しかも、サンスポによると、夏は休養に充てる予定だったけど、急遽(きゅうきょ)参戦が決まったそうです。勝手な想像ですが、ノーザンファームの人たちが『うちの生産馬が一頭もいないなんてあってはならない』とか言って、マイルの距離適性が高くて一番仕上がっているこの馬に白羽の矢が立ったのかな、と。鈴木さんが注目している前走の上がり3ハロンも、メンバー最速です」
キーンランドCは?
「エイティーンガールを本命にしました。鈴木さんがリピーターが強いレースと言っていましたが、この馬だって一昨年の勝ち馬で去年は2着。レイハリアが惨敗した今年の高松宮記念も8着とはいえ、1着とはわずか0秒3差です。札幌の芝は【1・1・0・2】(左から1着・2着・3着・4着以下)だし、今回手綱を取る武豊さまとのコンビでは【2・1・0・1】。好相性の鞍上に導かれて、鮮やかな差し切りを見せてくれるとみました」
僕のキーンランドCの印は
◎⑮レイハリア
○⑤ウインマーベル
▲⑭エイティーンガール
△①ヴァトレニ
△⑥シゲルピンクルビー
△⑨ジュビリーヘッド
△⑩ロードマックス
△⑬メイショウミモザ
△⑯トウシンマカオ
《3連複》
⑮-⑤-①⑥⑨⑩⑬⑭⑯(7点) 各600円
⑮-⑭-①⑤⑥⑨⑩⑬⑯(7点) 各400円
⑮-①⑥⑨⑩⑬⑯-①⑥⑨⑩⑬⑯(15点) 各200円
今週こそ馬券が当たりますように。
「来週は必ずLINEの人を連れてきてください!」
こればっかりは約束できないよ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
主な登場人物
ミチヤ…ひいきの居酒屋の店主。ずぶの素人から、どこまで競馬に興味を持ってくれるか
桃ちゃん…ひいきの居酒屋のアルバイト。馬券のセンスが抜群の競馬女子(UMAJO)。ちなみに、居酒屋ブルースのUMAJOは、酒場のあすピー→バイトのマヤ姉(ねえ)→桃ちゃんと変遷
LINEの人…謎の人物