「まずは選手をよく知るところから。選手が何を考えているのか、どういう目標があるのか。最初はそういうことを理解していく作業から」
この日、S班でただ一人、ブルペン入りした10年目左腕の今村には取材。「投げてどうだった? 去年、1年間どうだったの? とか」。野手のフリー打撃中は外野で打球を捕球しながら、打者の動きもチェックした。見て、聞いて、選手を知るところから始めるのが桑田流だ。
巨人のエースとして通算173勝を挙げた輝かしい実績に加え、現役引退後は早大大学院で修士を取得。スポーツ科学への造詣が深く、東大大学院の特任研究員を務めた理論派の一面も持つ。
セ・リーグ3連覇と9年ぶりの日本一奪還に向け、エース菅野に続く投手の育成が求められる。成長期の練習過多に警鐘を鳴らしているが、プロの世界は別だ。「体に染み込ませていく作業も大事。25、26歳くらいまでの投手には、よく投げて、よく走ってもらいたい」と説いた。
「それぞれの潜在能力を少しでも引き出してあげられるように。ともに考えて、悩んで、苦しんで、悲しんで、そして最後に喜べる伴走者になりたい」
まずは慣れ親しんだ東京ドームから。桑田コーチ補佐の15年ぶりの球春が幕を開けた。(箭内桃子)