役満・四暗刻を決めた近藤誠一 ©AbemaTV, Inc. ©M.League 麻雀のプロスポーツ化を目的として2018年にスタートしたMリーグ。個人戦の『Mトーナメント』も予選1stステージから大いに盛り上がっている。そこに飛び込んできた小林剛(U-NEXT Pirates)の契約満了の発表。勝負の世界の厳しさを、競馬評論家で麻雀ウオッチャーの片山真氏もしみじみと感じている。
【大河ドラマのような試合】
<8日・予選1stF卓>
麻雀は筋書きのないドラマ。時にはマンガにもならないようなできすぎの展開だって起こりうる。2戦で完結するこの卓では、3つの時代を舞台にしたような大河ドラマが繰り広げられた。
最初の時代を築いたのは黒沢咲(TEAM雷電)。1戦目の東4局では「中、三色同順、ドラ3、赤2」のヤミテン倍満を朝比奈ゆり(日本プロ麻雀連盟)から仕留めるなど、計5回のアガリで+81.2の大きなトップをモノにした。
三色同順と役牌が絡んだレアな倍満 ©AbemaTV, Inc. ©M.League1戦目はラスに沈んだ朝比奈が2戦目で盛り返す。東3局3本場で「リーチ・一発・ツモ・混一色・中・ドラ2」の倍満をアガったのに続き、東4局では「三―六索」のフリテンリーチを敢行して見事にツモアガリ。「リーチ・ツモ・タンヤオ・ピンフ・一盃口・赤」の3000-6000で通過ポジションまで浮上し、ニューヒロインの時代到来を思わせた。
鮮やかな混一色リーチ一発ツモ! ©AbemaTV, Inc. ©M.Leagueしかし、これだけでは終わらない。女流プロの大物手連発に、「どんだけ〝女王〟がいるんだよ」と思っていた近藤誠一(最高位戦日本プロ麻雀協会)だが、それでも主役の座をあきらめてはいなかった。南1局では〝大きく打つ〟雀風そのままに、テンパイになる「二索」をポンせずスルー。
この手からポンテンは取らず ©AbemaTV, Inc. ©M.League これが功を奏し、12巡目に「二索」を引いてテンパイ。2巡後にツモった「三索」で四暗刻を成就させたのだ。
左手を振り下ろして「三索」ツモ ©AbemaTV, Inc. ©M.League さすが千両役者、出場した4選手がそろって倍満以上をアガった大乱戦で、最高打点の役満を決めるのだからすごい。一気にトータル首位を奪って、予選3rdへのジャンプアップ。〝夢芝居〟の締めくくりはやっぱりこの男だった。
【船長がいなくなる…】
Piratesの〝船長〟小林剛 ©AbemaTV, Inc. ©M.League <10日>
Mリーグに所属するチームが来シーズンに向けての選手契約状況を公表する期限ギリギリに、U-NEXT Piratesが小林剛との契約を満了することを発表した。
リーグ発足当時から〝船長〟としてチームを引っ張ってきたコバゴー。初優勝を飾った2019-20シーズンの後半には、「1日1ゴー」と呼ばれた連日の登板で大車輪の活躍を見せていた。
直近の4シーズン連続で個人成績がマイナスポイントに終わったとはいえ、入れ替え規定に引っ掛かってもいないのに、チームの象徴が退団するとはあまりにシビアな決定だった。
初年度のファンミーティング(左から)石橋伸洋、朝倉康心、片山真氏、小林剛(片山真氏提供) これで創設時のメンバーがすべていなくなることに。2019年6月に参加したファンミーティングが、ますます大切な思い出になってきた。来シーズンのPiratesには、このなかの誰一人もいない。
さらに驚いたのは、コバゴーがチームから契約満了を伝えられたのが、Mトーナメント(5日C卓)に出場する直前だったということ。〝ロボ〟と例えられるほど、いくらブレないメンタルの持ち主だとは言っても、直後の2半荘をどんな気持ちで打っていたのだろう。
2戦の結果は3着、3着。それでも極めて珍しいケースで〝勝ち上がり〟となったのは、クルーと呼ばれるPiratesファンの救いになったはず。でなければ、Piratesのユニホームで闘牌するコバゴーの姿は、フェードアウトするように見納めになっていたのだ。
Mトナ試合後のインタビューで、所属する麻将連合の選手の紹介に時間を割いたことにも合点がいった。今後行われるドラフトで指名されない限り、Mリーグを構成する5つの麻雀プロ団体のうち、麻将連合からのMリーガーはいなくなる。
【新スターを探せ!】
小林剛の退団は寂しいが、Mリーグがもっともっと大きなムーヴを巻き起こすには、活発な新陳代謝も必要なことなのだろう。
麻雀プロ活動の自粛を表明した渋川難波(元KADOKAWAサクラナイツ)は別にして、セガサミーフェニックスからの退団が決まった浅井堂岐だって、少し前のMリーグだったら契約を更新できるだけの人気を集めている。成績面を重視しての契約満了は、小林剛と同じ理由。それだけMリーグのチームに〝勝ちたい〟意識が強まったとも言える。昨シーズンから優勝賞金が7000万円にアップされたことも大きい。
G卓の結果 ©AbemaTV, Inc. ©M.League <12日・予選1stH卓>
2位で通過した御崎千結 ©AbemaTV, Inc. ©M.League 渋川難波の出場辞退により、急きょ出番が回ってきたのが御崎千結(日本プロ麻雀協会)。1戦目は-48.3のラスで苦しい位置に追い込まれたが、このチャンスを逃すまいと、2戦目に逆襲に出る。
親番の東2局に6000オール、東4局には「ツモ・タンヤオ・三色同順・ドラ3」の3000-6000をアガって、堂々とトップを独走。さらに南場の親番、南2局の1本場には鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)の先制リーチを「三-六筒」待ちで追っかけた。
攻めまくって親の跳満 ©AbemaTV, Inc. ©M.League そこで「リーチ・タンヤオ・ピンフ・ドラ1・赤2」の親跳満1万8000(+300)を仕留めるあたりに、30歳の女流プロのスター性を感じた。最後は村上淳(最高位戦日本プロ麻雀協会)に逃げ切られたものの、初戦ラスから一気にジャンプアップが狙えるところまで巻き返したのだから雀力も高い。将来のスター候補はまだまだたくさん隠れている。
H卓の結果 ©AbemaTV, Inc. ©M.League ◆Mトーナメント
2018年に始まったプロ麻雀リーグ「Mリーグ」の冠のもと開催される「ABEMA(アベマ)」のオリジナル対局企画で、今年が4回目。「Mリーグルール」で2半荘・2位勝ち抜けの個人トーナメント戦を行う。現Mリーガー40名と各団体のタイトルホルダーなど団体推薦者32名、総勢72名の麻雀界トッププロが激突。今年からは賞金総額が3000万円にパワーアップ。「Mリーグ」の〝熱狂〟をオフシーズンも『Mトーナメント』で楽しめる。
■片山真(かたやま・まこと) 1961年12月18日生まれ。64歳。広島県出身。東京大学農学部畜産獣医学科卒、同大学院修士課程修了。競馬記者歴は40年。夕刊フジで『俺の切り札』を連載し、メインレースを中心にヒットを連発した。麻雀歴は高校1年からで、昭和の人間らしく好きな手役は純チャン三色。