ただ立石にはここからが勝負の時…と考えて欲しいですね。自主トレから3度に及ぶ故障を乗り越えて一軍に昇格したのが5月19日。そこから15試合出場で打率・222、1本塁打、7打点。初めてスタメン三塁に入ったのが5月24日の巨人戦(東京D)でした。この試合は6ー3と勝利しました。このG3連戦では打率・500、1本塁打、5打点の大活躍でしたが、その後の交流戦では日本ハム3連戦では13打数ノーヒット、西武2試合も8打数ノーヒット。楽天戦でやっと息を吹き返しつつありますが、快音が響くことは少なくなっています。
「立石はプロの鋭い変化球に直面し、明らかにバットを振るタイミングが遅れている。なので直球に差し込まれる。プロに入った新人が誰でも直面する状況だ。これは慣れていくしかない」と阪神OBは話しました。
立石をスタメン三塁で起用し、4番・三塁だった佐藤を右翼に回した巨人戦後、藤川監督は「順序よくと言いますか、描いている、描きすぎず、でも応えてくれる選手達がよくやってくれていると思います」と話し、続けて「適性です。適性ポジションに、ハマっていけるかというか、形にしていくと。これから交流戦までDHもありますから。とにかくいい形を目指すと。動かなければ何も動きませんから」と説明しました。
4番・三塁として打率や本塁打、打点などリーグの打撃部門を〝制覇〟している佐藤は昨季、三塁手としてゴールデングラブ賞を受賞しています。そんなチームの中心軸を動かす意味はどこにあるのか。大きな理由は甲子園のバックネット裏に集結している大リーグのスカウト達の姿が教えてくれています。今季だけではなくて来季以降の近未来に備えるために…という意図は誰が見ても明らかでしょう。
チームの将来構想とリンクしているからこそ、佐藤もスンナリ!? 受け容れて実現した立石三塁→佐藤右翼。しかし、それが本当に現時点でチームにとって「適性です」なのかどうか…。立石が三塁に入ってチームは5勝6敗。それまで27勝17敗1分けでした。
かつて岡田彰布オーナー付顧問(前監督)はこんなことを話していました。「ポジションを奪った選手ばかりがスタメンに名を連ねているチームは強い。それぞれの選手に力があるからや。しかし、ポジションを与えられた選手が多いと、そのチームは弱い」。様々な背景があるにせよ、立石の三塁は佐藤から奪い取ったものではなく、指揮官から「与えられた」ものです。そこには自然と弱さが同居します。
これから立石自身が攻守で「適性だった」と周囲に言わしめる活躍を見せるしかありません。〝ミスタータイガース〟掛布さんはプロ2年目に佐野仙好氏ら強力なライバルを実力で押しのけて三塁のポジションを奪いました。問われるのは結果です。「与えられた」ではなく「奪い取った」三塁手になれば、その時はおのずとチーム力も上がっていくでしょう。立石正広は掛布雅之になれるのかー。これからが本当の勝負です。
■植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、野村克也、星野仙一の両氏の阪神監督招聘を連続スクープ。