麻雀のプロスポーツ化を目的として2018年にスタートしたMリーグ。オフシーズンには個人戦の『Mトーナメント』が開催され、その熱狂は冷めることがない。1日からスタートした予選1stステージを、競馬評論家で麻雀ウオッチャーの片山真氏が振り返る。
【いきなり壮絶な乱打戦に】
<1日・予選1stA卓>
今年の開幕カードは、高打点が飛び交う壮絶な乱打戦になった。2戦合わせて親の跳満1万8000が4回、親満1万2000が3回、子の跳満1万2000が2回に、子の満貫5回! このうち6回の大きなアガリを決めた東城りお(BEAST Ⅹ)が卓全体を支配した。
第1試合の南2局には、トップ目だった清水香織(日本プロ麻雀連盟)から高目の「三筒」を直撃して1万8000。続く1本場でも松本吉弘(渋谷ABEMAS)から1万2000+300をアガって、悠々と1着ゴールを決める。
【執念の2ndステージ進出】
第2試合も東城のリードで展開し、南1局を迎えたときにはほぼ勝ち抜け決定の状況。対して苦しい位置に追い込まれたのが1戦目ラスの松本吉弘(渋谷ABEMAS)だった。
1戦目が-63.7。この時点で1万5700点持ちの3着目だと-24.3で、トータル-88.0。2着、2着と来ている河野高志(RMU)は+23.8だったから、2位勝ち抜けのためには南場だけで100ポイント以上の差をひっくり返す必要があった。
松本は親番の0本場を最終手番でのテンパイでつなぎ、1本場は1300(+100)オール。この粘りが大逆転をもたらした。
2本場はラス牌の「間七筒」をツモりアガって6000(+200)オール。さらに3本場にも後がない清水から高目一盃口になる「三萬」を捕らえ、裏ドラ2枚が乗る幸運も。1万8000+900の加点で一気にトップに浮上したのだ。
しかし、6万点を超えても2着に落ちるとトータルで河野にかわされてしまう松本。南3局に2着目の東城がリーチをかけてきたときには、苦悶(くもん)の表情を見せた。
ここで親落ちでもトータル1位=予選3rdへジャンプアップの東城が、ダメ押しにもほどがあるリーチを敢行してきたのだ。「悪魔みてぇ~なヤツだな~。この人、怖い…」と、思ったのがこの顔だったことを、試合後のインタビューで明かしている。
何とか松本がトップを守り、2着勝ち抜けで予選2ndステージへ。ジャンプアップ一番乗りは、東城りおが決めた。
【東海から強者がもう一人】
<1日・予選1stB卓>
B卓は2戦ともトップの小池諒(最高位戦日本プロ麻雀協会)がジャンプアップ。2着、2着の佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘俱楽部)がトータル2位で予選2ndステージへと進んだ。
最終的には結構なポイント差がついたものの、2戦ともにオーラスでツモアガったのは寿人だった。どちらも裏ドラが1枚でも乗っていれば、逆転の手をつくっていたのだ。
寿人の手牌を確認したときの小池の顔がこれ。何度となく迫ってくる〝魔王〟の怖さを思い知ったはずだ。
1位勝ち抜けが決まり、ホッとしたなかで答えた〝トーナメントで対戦したい相手〟は、「一番に当たりたいのは鈴木優選手(U―NEXT Pirates)。(所属団体の)東海支部長を引き継いだ先輩です」。もう一人はMリーグ2025-26シーズンで大暴れした「永井孝典選手(EX風林火山)です。仲のいい後輩で、ヤツを倒したい」と。なるほど、勝ち上がり後の卓組みが楽しみだ。
【3着、3着で勝ち上がったのは】
<5日・予選1stC卓>
塩澤彰大(最高位戦日本プロ麻雀協会)が連勝を決めたことで、何とも珍しい事態が起きた。
小林剛(U―NEXT Pirates)は、1戦目が-19.6の3着。2戦目が-16.4の3着で、2戦トータルは-36.0。それでも残る2人が2着→4着、4着→2着となると、順位点に差がなくなり素点勝負になる。
コバゴーらしいしぶい麻雀で、マイナスを最小限に抑えたことが〝勝ち上がり〟の決め手に。3着、3着でのステージ通過は、Mトーナメント4年目にして初めてのケースだ。
連勝の塩澤はオンラインで腕を磨いてきたタイトルホルダー。初めてのMの舞台でも、落ち着いたゲーム運びで見事に立ち回った。この先、戦いたい選手には、同じ団体のMリーガー、竹内元太(セガサミーフェニックス)と渡辺太(赤坂ドリブンズ)を挙げている。
【半年ぶりのトップ!】
<5日・予選1stD卓>
個人のデイリーダブルが続いた1週目。4卓中3回目の2連勝を飾ったのは、HIRO柴田(アースジェッツ)だ。
Mリーグ2025-26シーズンは不振にあえぎ、28回の登板でトップは3回。最後にトップを取ったのが昨年の12月2日だったから、実に半年ぶりのトップがうれしいMトーナメントでやってきた。
2戦目の南2局親番では、「東」「中」のダブルバックへ向かってドラの「東」をツモアガリ。カンドラになっていた「中」との「東、ドラ5」は6000オール=1万8000の加点で同日連勝を達成。3rdステージへのジャンプアップまで奪ってみせた。Mリーグ参戦初年度にチームで1回もできなかった〝デイリーダブル〟を一人でやってのけたHIRO柴田。Mトナの台風の目になるかもしれない。
◆Mトーナメント
2018年に始まったプロ麻雀リーグ「Mリーグ」の冠のもと開催される「ABEMA(アベマ)」のオリジナル対局企画で、今年が4回目。「Mリーグルール」で2半荘・2位勝ち抜けの個人トーナメント戦を行う。現Mリーガー40名と各団体のタイトルホルダーなど団体推薦者32名、総勢72名の麻雀界トッププロが激突。今年からは賞金総額が3000万円にパワーアップ。「Mリーグ」の〝熱狂〟をオフシーズンも『Mトーナメント』で楽しめる。
■片山真(かたやま・まこと) 1961年12月18日生まれ。64歳。広島県出身。東京大学農学部畜産獣医学科卒、同大学院修士課程修了。競馬記者歴は40年。夕刊フジで『俺の切り札』を連載し、メインレースを中心にヒットを連発した。麻雀歴は高校1年からで、昭和の人間らしく好きな手役は純チャン三色。