(セ・リーグ、ヤクルト2-10阪神、6回戦、阪神4勝2敗、30日、神宮)4月28日付の当欄で、神宮球場と他球場との違い、気を付けるべきことを紹介した。確かに〝丸見えブルペン〟は象徴的。高橋遥人の快投に沸いた29日の試合でも、終盤、準備する阪神ブルペンの動きがあった。プロの備えは、一見の価値あり!
神宮球場は取材する立場としても〝全然違う〟ことがある。一つは、報道陣も試合後にグラウンド内を歩いて帰路に就く選手を囲んで取材しなければいけない。スタンドからも、テレビ中継でも、報道陣が〝丸見え〟状態になる。12球団の本拠地で唯一の取材環境だ。
「サンスポ、もっと厳しく書け!」(はい、わかりました)
「サンスポ、ウソばっかり書くな!」(書いてないで!)
社名を書いた記者証をぶらさげているから、正体がすぐバレる。トラ番がヤジを浴びる球場でもある。
そして、雨が降ったら、新聞記者もずぶぬれになりながら取材しなければいけない。天気予報が雨模様だと、試合中も気が気でならない。
昔、土砂降りでノーゲームになったことがあった。傘を差して取材した。選手も傘の中に入れてあげて。その光景がテレビで流れた。
「なに、傘差しとるんじゃ!」
デスクから怒鳴られた。歩いているだけで、四方八方から叱られる球場だった。
試合前の練習取材中に、トラ番・中屋友那が連絡してきた。
「今はポツポツ降ってます。でも試合は間違いなくできます。ただ…」
ドームではない球場の心配事は、今も昔も変わらない。中屋も試合後の心配が頭から離れない様子だった。
試合中、雨量が強まった時期があった。心配したが、試合後はポツポツ。トラ番部隊、ずぶぬれは避けられてホッ。
さらに神宮の特徴は、記者席。バックネット裏のグラウンドレベルの高さにある。ナイター中継でお気づきかと思うが、打者のすぐ後ろに、記者が座って観戦している姿が映っている。
12球団の本拠地で、グラウンドレベルに記者席があるのは、楽天の本拠地と、ここ神宮だけ。特等席だ。
「あの目線で(高橋)ハルトさんの投球をみると、本当のすごさが伝わってきます。投球の軌道に、ヤクルトの打者のバットが全く合わない。まず打たれないだろうなぁというのが、記者席で見ていても分かりました」
証言した中屋は大学まで本格的に野球をやっていた。その目は、野球未経験者に比べると、より〝プロに近い〟。
30日の夜も、今季初登場の西勇輝の投球を、すごく近い、打者や捕手、球審と同じ高さで見守った。精密機械のような制球で、ポンポン投げ込む西勇のマウンドも、一見の価値がある。
「3年前の阪神が優勝を決めた直前の巨人戦での西さんの投球は忘れられません」
中屋の記憶に鮮明な試合は2023年9月12日。巨人打線をわずか2安打に抑えての完封だった。試合時間はわずか2時間6分。西勇の真骨頂の投球だった。
この夜は初勝利も5回で交代。こんなレベルの投手ではない。次回はもっと長いイニングで「投球術」を楽しませてもらおう。