直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子さんのミステリー小説「木挽町のあだ討ち」を映画化。主演の柄本佑と初共演の渡辺謙(66)が見どころをたっぷり語ります。(笹井弘順)
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--木挽町の芝居小屋「森田座」近くで、美しき若衆・菊之助が父を殺した無法者・作兵衛を斬って仇討ちを成し遂げた美談の真相に迫る傑作小説。出演オファー前に読まれていたとか
「企画が立ち上がってることも知らずに源孝志監督と別作品の打ち合わせをしてて、終わった後に『めちゃ面白い。映画にならないかなぁ』って言ったら、ニヤッと笑われて『実は僕がやろうとしてる。何をやりたいの』って聞かれて『それは作兵衛でしょ』って」
--映画は、小説に登場しない、仇討ちの真相を探る浪人・総一郎を主人公にして、謙さんは一座の立作者で武家出身の篠田金治を演じられた
「そう来たかって感じですよね。総一郎を表に出すことで謎解きの方法論が変わっていく。彼にこっちの糸を探られないようなスタンスで役を作っていきました」
--柄本佑さんは?
「何か含むものを持ちながら重心を上げて入る難しい役。うまくやったと思います。スタイルは違うけど、若い頃の柄本明さんもちょっとああいうニュアンスがあったかもしれない。人を食ったというか、チャーミングなんだけど、底知れない奥がある。DNAかな」
--菊之助役のなにわ男子・長尾謙杜君の印象
「まず、真面目だってところがとっても大事。あの年代で〝なんとかなるやろ〟じゃなく、抱えてることの大きさ、やらなきゃいけないことの多さを地道に続けていってた。すごい好感を持てましたよね。どこまで伸びてってくれるか、楽しみはあります」
--菊之助と対峙する作兵衛は北村一輝さん
「僕も年齢的に、もうちょっと若い人がやるべきやと思ってた。『ええ役やなぁ』って、ずっとプレッシャーをかけてたんですけど(笑)ノビノビやってましたね」
--菊之助と作兵衛の仇討ち場面は?
「ほぼセットで、ライティングとか、ダイナミックさもありながら、非常に繊細な美的センスには東映京都の醍醐味がありましたよね」
--小説でフィクサー的な存在の金治にも大立ち回りがあります
「脚本が上がってきたときは、こんなに大団円じゃなかった。プロデューサー陣から『渡辺謙が出るんだったら、最後はチャンバラやった方がいいんじゃないの』って足されたみたい。謎解きだけじゃないコミカルにやれる場所だったので、面白がってやりました」
--謎解き劇が痛快時代劇になってました
「やっぱりね、人と人との関係性を役者が演じて画面の中でつむぐと、より深くなる気がした。昨今、何か息苦しいというか、見終わってズーンと重いものが残る映画が多くなってる。悪くはないけど、僕は映画館を出るときに晴れ晴れした気持ちになれる温度感の作品が好きなんですよね」