初場所11日目、藤ノ川を送り出しで下し、懸賞の束に手を伸ばす熱海富士=20日、両国国技館(撮影・尾崎修二) ■1月22日 中高年にとっては昭和レトロの温泉地、静岡県熱海市もいまはおいしいスイーツがいっぱいのオシャレで便利なリゾート地に変貌した。それでも昔懐かしの芸者さんは往時に比べ激減したとはいえ、熱海見番(芸妓組合)に聞くと70人ほど在籍しているとかで踊りや三味線でお座敷を盛り上げている。
「勝ち越したら、このおじさんと熱海の芸者さんを総揚げして盛大に酒でも飲もう」。軽妙洒脱な解説で人気のあった故北の富士さん(元横綱)は連載していたスポーツ紙のコラムを通じて下の頃から目をかけていた熱海富士を誘った。新入幕目前の令和4年秋場所のことで、翌場所初土俵から12場所のスピード入幕を果たした。
飲み会が実現したかどうかはともかく、見番によると芸者さんの花代は基本的に1座敷(2時間)2万円ほどだが、総揚げとなればそれだけではすむまい。1人につき10万円として700万円…。その昔「ミス熱海」コンテストの審査員も務め熱海とは縁が深かった北の富士さんなら、さぞ気前よく…。
さて、熱海富士。今場所で入幕から16場所だが、187センチ、192キロと体格に恵まれながらいまだ三役経験がないのが不思議なほど。初場所9日目の横綱豊昇龍戦での初金星も意外だった。10日目も横綱大の里を取り直しの末押し出し、2日連続金星で3日目から8連勝と存在感をみせた。
日本一早咲きの熱海梅園の梅は四分咲き。「熱海は暖かいから結構のんきな人が多い。熱海富士さんもやっとお目覚めしたようね」と見番のお姐さん。連続金星で懸賞金も10日目まで924万円の荒稼ぎだ。「盛大に総揚げできるな」と泉下の北の富士さんも声をかけたいのではないか。(今村忠)