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【鬼筆のトラ漫遊記】阪神1強の舞台裏で流れる「セ・パ解体論」…猛虎優勝で、またルール変わるのか

初陣シーズンで2年ぶりリーグ優勝に近づいている阪神・藤川球児監督

阪神1強の舞台裏で、球界内に「セ・パ解体論」が流れています。選手会の幹部が発した1軍の「4球団3地区制」は実現性を帯びるのでしょうか。藤川球児監督(45)率いる阪神は15日からの巨人3連戦(東京D)で2勝1敗と勝ち越して、優勝マジックは「22」に。2年ぶり7度目のリーグ優勝は確定的ですが、2位以下が借金状態というセ・リーグの勢力図の中で、中央球界ではエクスパンション(球団拡張)の機運に絡めて「セ・パ解体論」が議論されているもようです。阪神圧勝の後は球界のルールが変わる…。歴史は繰り返されるのでしょうか!?

かつて逆の立場で喧騒渦巻くグラウンドを眺めていた記憶があります。あの暗黒時代、巨人戦はいつも負け越しで東京ドームでは「闘魂こめて」を嫌というほど聞かされたものです。それが、どうでしょう。今季は巨人戦で15勝6敗の貯金9。18日時点で66勝41敗2分けで貯金25ですから、約3分の1は巨人から頂いたものです。敵地に流れる虎党の「六甲おろし」を聞きながら、こんな時代がやってきたのか…と感慨に浸っています。

それでも、チームを率いる藤川球児監督は「選手たちは道中ですから。シーズンが終わったときに、どういった成績があるのかは個人の楽しみでもあるし、ゲームのある4時間はチームとして一つになって戦う。現状では、まだ満足できていないんじゃないですか」と冷静沈着に話していました。指揮官は今季が初陣です。前監督の岡田彰布氏(67)に比べて指導者としての経験値がないことを開幕前不安視されていたはず。それが、ここまでの戦いは百戦錬磨。「球児はコーチ経験がなくても大丈夫。結果を出せる能力はある」と話していた阪神電鉄本社首脳の言葉が脳裏を駆け巡っています。

日本プロ野球選手会・森忠仁事務局長

阪神はまさに我が世の春で残り試合を戦っていくのでしょうが、独走Vが確定的な状況下、球界では地殻変動の前触れのような動きが見受けられます。簡潔明瞭に表現するならば「セ・パ解体論」。一連の流れはこうです。

7月14日に開催されたオーナー会議で、来季からイースタン・リーグとウエスタン・リーグを解体し、2軍の公式戦を「1リーグ3地区制」に再編することを全会一致で承認しました。東地区が日本ハム、楽天、ロッテ、ヤクルト、オイシックス(新潟)の5球団。中地区は巨人、DeNA、西武、中日、くふうハヤテ(静岡)の5球団。西地区が阪神、オリックス、広島、ソフトバンクの4球団。全体の14チームで順位を決め、上位球団でプレーオフを実施します。

イ・ウ解体に至った背景には、移動時間の短縮や経費削減があります。そしてリーグ再編が決まった際に強調されていたのが、2軍だけ参加している新潟、静岡の2球団によって、プロ野球の空白地区が埋まり、野球普及に大きく貢献している-という話でした。2軍のリーグ再編を受けた7月17日、東京都内で日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝が行われました。席上で選手会の森忠仁事務局長は「野球普及の話を聞いて選手会としては確かに必要だと思う。だったら1軍でやるべきではないか。1軍をエクスパンションで増やしたりとか、1軍で活躍できる選手をもっといろんなところで見せていく方が活性化になるのではないか。選手会としては〝1軍もやって〟というのを改めて強く感じた」と話したのです。


選手会幹部が正式な会議で初めて言及した「1軍のリーグ改編案」。エクスパンションの上での改編という趣旨が強調されましたが、議論の中では2軍が1リーグ3地区制に移行するのだから、この際1軍も現在のセ・パを解体。12球団を3地区4球団に振り分けるか、3地区5球団ずつの15球団制や、さらに増やして4地区16球団制に拡張-という方法論も話題に上がったもようです。

確かに2軍だけが来季から再編されるのに、1軍の2リーグ制は手付かずのままというのも、見方によってはどうなのだろうといえるかもしれません。一つの案がセ・パを解体し、①東地区を日本ハム、楽天、ロッテ、ヤクルト②中地区を巨人、DeNA、西武、中日③西地区を阪神、オリックス、広島、ソフトバンク-に分けるものです。各地区の優勝チームに加え、各地区2位のうち最高勝率のチームがポストシーズンに進出。4チームが準決勝(5回戦制)と決勝(7回戦制)を行って日本一を決める。こうすればリーグ3位からの日本一といった現状のクライマックスシリーズ(CS)でみられる「敗者復活戦」の色合いは薄れます。

1985年、日本一に輝いた阪神。翌年のルール変更がなければ…

8月12日コラムの「阪神ファンは現状のCSルールを許せるのか? 独走Vでもファイナル突破の保証はない」で問題点を指摘しました。現状、セ・リーグは阪神が貯金を独り占めにし、2位巨人が借金1(52勝53敗3分け)、3位DeNAも借金2(50勝52敗5分け)です。もし、このままの状態でCSに突入し、レギュラーシーズンの借金チームがファイナルステージで阪神を破れば、こんな不条理なことはないでしょう。レギュラーシーズンの軽視も甚だしい。それでも今のCSは事実上の「敗者復活戦」ですから、文句は言えません。しかしセ・パ解体で3地区制にすれば、CSの不条理は今よりも解消されるはずです。

現状のセ・パ2リーグ制は1950年からです。長い歴史の重みを考えれば、あまりにも荒唐無稽かもしれませんが、55年に現状の形となったイースタン・リーグとウエスタン・リーグは今年限りで歴史に一区切りを付けます。どんな世界にも変革は付き物です。

阪神が圧倒的な強さで日本一になった85年。バース、掛布、岡田や真弓を要する強力打線は無双状態でした。それが、翌年は米大リーグ流の低めをとる「新ストライクゾーン」導入によって勢いをそがれました。投低打高の傾向を変える試みでしたが、明らかに阪神を狙い撃ちしたルール改定でした。阪神が強いとルールが変わる? 球界の水面下の動きから目が離せません。

■植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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