【アナハイム(米カリフォルニア州)13日(日本時間14日)】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(31)はエンゼルス戦に「1番・投手兼DH」で先発して4回⅓を投げ、5安打4失点。イニング数の上限が5回となり、球数はこれまで54球が最多だったが、一気に80球まで増加した。ここまで右肘手術のリハビリを慎重に進めてきたが、チーム状況が一変し、それを許さなくなってきている。MLB担当の横山尚杜記者(31)が背景を分析した。
「ファイブ」の声が聞こえたのと同時に、自分と同じく目を丸くした隣の記者と視線が合った。ドジャースのロバーツ監督が試合前に大谷のイニング数の目途を「5回」と明言した。前回登板の前からエンゼルス戦は「4回」とし、登板後にもそう明言していたが、首位を明け渡した試合前の段階で状況は一変していた。
記者も5回を投げる可能性がゼロだとは思っていなかった。球数次第。大谷は前回初めて4回を完了し、術後最多の54球を投じた。リハビリ過程の大谷にとって球数は前回と同等かそれ以上でなければ前進とは言えない。四回を終えて球数が40球台という可能性もある。その場合はこの試合で5回を投げ切る可能性はあると考えていた。
だが、ふたを開けてみると四回を終えた時点で62球。ここで十分だったのではないかと思う。1イニングの登板を2度経て、その後も超がつくほど慎重な実戦過程を歩んできた。だが、この日は最大54球だった球数は一気に80球まで跳ね上がった。大谷は術後のブルペンでも40球を超える球数を投じたことはない。
こうなった背景は明らかだ。7月から続くチームの停滞と救援陣の故障禍。打撃だけでなく、投打で大谷に頼らざるを得なくなった。この日も救援投手がつかまり、逆転負け。勢いのあるパドレスに首位の座を奪われ、試合後の指揮官は本音を漏らした。「全く予期していなかった」―。想定外を大谷の規格外の才能で埋めるのは最も簡単な方法だが、これまで積み上げてきた慎重なリハビリが無に帰する可能性はないだろうか。