6月8日の日本ハム戦の九回、一走のDeNA・三森大貴が盗塁を決める=横浜スタジアム 失敗を避けなければならない場面で見事に役目を果たす。強打のDeNA打線にあって、三森大貴内野手(26)の盗塁は相手に一層の脅威を与える。リード、スタート、スピード、スライディング。成功のポイントは幾つもあるが、とりわけ準備と度胸が重要という。「ピッチャーの動きやクイックのタイムは頭に入っている。本当に思い切っていくだけ」と秘訣(ひけつ)を語った。
緊迫の状況で持ち味を発揮した試合がある。6月8日の日本ハム戦。1点を追う九回1死で一塁走者の代走で起用され、厳しいマークをくぐり抜けて2球目に二盗を決めた。土壇場での同点劇を演出すると、延長十回にプロ9年目で初となるサヨナラ打を放った。
スピードに乗った三森は、ためらいなく頭から滑り込む。スライディングに比べてけがの可能性が高まるが、「単純に足で行くより速い。(成否が)コンマ何秒の勝負になったら、ヘッドスライディングの方がセーフになりやすい」と説明する。鍋つかみ型の走塁用手袋をはめて故障のリスクを軽減しており、盗塁以外でもヘッドスライディングで先の塁を陥れることがある。
6月17日時点でリーグ4位の11盗塁。さきの日本ハム戦のように、1点を争う場面での代走起用もある中、失敗は2度にとどめている。「自分に保険をかけられる材料を持っておくことがすごく大事。根拠があればあるだけスタートは切りやすい」。走塁担当のアナリストから得る情報や映像を基に相手の特徴を分析し、試合中も盗塁に備えてベンチから目を光らせており、準備を結果に結び付けている。
試合前の練習では、一塁走者を想定して繰り返しスタートを切る姿がある。走塁の強化を担う河田外野守備兼野手コーチは「スタート、中間走、スライディングの全部が完璧。緊張する場面の二盗でも力みなく見える」と称賛した上で「毎日欠かさず練習で走っている。よく勉強しているし、精神的に強いのもある」と続けた。三浦監督も「技術があっても気持ちが追いつかないとプレーはできない」と精神面を高く評価する。
自己最高はソフトバンク時代の2022年に記録した20盗塁。トレードによる加入1年目でDeNAに欠かせぬ戦力となった韋駄天は「キャリアハイを超えられるように積み上げていければ」と静かに闘志を燃やした。(鈴木智紘)