■4月4日 「辛抱」の代名詞ともなった昭和のNHK連続テレビ小説「おしん」。そのロケ地として知られる自然豊かな山形県西川町の町長が、町職員に対しパワハラ騒動を起こした。「辛抱」はもはや死語かと錯覚するくらい、最近は兵庫県の斎藤元彦知事(47)をはじめ全国でパワハラ首長が花盛りだ。
今回問題となったのは西川町の菅野大志(かんの・だいし)町長(46)。事の発端は昨年9月、水道の新規事業担当の課長級男性職員が、早期退職を町側に伝えたこと。菅野町長は後任が決まるまで現職にとどまるよう誓約書で提示したが、男性から断られ襟元をつかみ町長室に連れ込んだという。
男性は「殴られるかと恐怖を感じた。他にもアホかと言われたりした。苦しんでいる職員は大勢いる」と書面で発表。これに対し、菅野町長は2日に会見し「熱い思いで行き過ぎた。大変申し訳ない」と謝罪したが、「パワハラがあったとは全く思っていない」と否定。しかし、西川町は第三者委員会を設置して事実関係の調査を行う。
菅野町長は早大を卒業後、金融庁などを経て2022年、故郷・西川町の町長選に出馬。「『すっだい』(山形弁で『やりたい』)を実現する町に!」を旗印に初当選したが、やりすぎたか。くしくも、4月4日は「おしん」の脚本家で、2021年に95歳で死去した橋田壽賀子さんの命日にあたる。
橋田さんは著書「恨みっこなしの老後」(新潮社)でこんな一文を書き残した。「きちんとした気遣いができて人に愛される人間が、結局は良い仕事ができるのだと思います」-。早大出身でもある橋田さんは今頃、辛抱のない後輩に草葉の陰で、ご立腹に違いない。(森岡真一郎)