阪神・前川右京外野手(21)が4日、大阪市内で行われたスポーツ用品大手、SSK社のプロスタッフ会議に参加し、来季に使用する用具の打ち合わせを行った。選んだバットは「スパーンと出る感覚があった」と振りやすさを感じた〝イチローモデル〟。将来的には同社とのアドバイザリースタッフ契約も結ぶべく、新たな武器を携えて今季に果たせなかった全試合出場を目指す。
必死の思いでグラウンドに立ち続け、2024年を1軍戦力として駆け抜けた。ただ、前川の視線はすでに新しいシーズンへと向いている。SSK社と来季に使用する用具の打ち合わせに参加。新たなバットに選んだのは〝イチローモデル〟だ。
「いままでは(バットの先端からグリップまでが)太いタイプだったけど、ちょっと細めのタイプになったかな。振りやすさと、スパーンとバットが出る感覚があった」
好感触をつかんだのは、バットの中心部が極めて細い一品。SSK製ではソフトバンクなどで活躍した川崎宗則(現BCL栃木)モデルに近いのだが、その参考となったのが日米通算4367安打のレジェンド、イチロー氏のミズノ製バットの形状だ。前川はバットの先端部分をくり抜くなどして今季に使用していたものよりも10グラム軽い870グラムを使用する予定だが、重さ以上に、細身の形状が振り抜きやすさを生み出す最たる要因となっている。
今季の前川は116試合に出場し、売りの打撃では打率・269(324打数87安打)、4本塁打、42打点。左翼のポジション争いで抜け出し、大きく飛躍した。ただ、その過程でバットはチームメートから借りるなどしながら「ちょっとずつ軽くしてもらったり、くり抜いてもらったり」と試行錯誤。「疲れなのか、振れなくなってくるのが(バットを変えた)原因」と、長い戦いの中で結果を残すために、もがいた時期もあった。
そんな経験も商売道具へのこだわりにつながっている。今季の成績には一定の手応えを感じつつ、さらなる高みを目指し、「残りの30試合ぐらいは出られていない。出るためにはコンスタントに結果を残さないといけないので、しっかりと体力をつけて頑張りたい」。肉体的なレベルアップは前提とし、振りやすさを追求した新バットでパフォーマンス向上を果たせば、全143試合出場も現実的になってくる。
来季も結果を残すことができれば、〝SSKの顔〟になれる可能性も高まる。同社の担当者は「期待の大砲なので、西勇、才木、梅野の3人に次ぐ選手になってほしい。けがなく来シーズンを迎えて、いい成績を残してくれたら」と将来的なアドバイザリースタッフ契約に前向きだ。前川自身も幼少期は巨人・坂本勇人モデルのSSK製バットを愛用し、プロの世界を夢に見た。契約締結に至れば、前川右京モデルが世に出ることだってかなう。
「(前川モデルが)できるように来年一年、頑張ります!!」
そのためにも、まずは〝タイガースの顔〟になる。新たな用具を携え、グラウンドには長く、打席には多く―。右京の名前がもっともっととどろく一年にしてみせる。(須藤佳裕)
■イチローモデルのバット ベースとなっているのは2度の首位打者経験がある元巨人の篠塚和典モデルで、特徴は細さと軽さ。スイートスポットが狭くなりミートするのが難しくなるが、バットを操作やすくなる利点がある。ミズノ養老工場(現ミズノテクニクス株式会社)で製作され、2003年に「現代の名工」にも認定された久保田五十一氏が手掛けた。